「かかってこい」のはずが…へし折られた鼻っ柱 前田智徳は「スゲーな、しかなかった」

1年目のキャンプ…前田氏の打撃練習を先輩たちが箸を止めて見つめた

 弁当を食べていた先輩たちが箸を止めて、前田の打撃を見ていたのがわかったという。「僕ではなく、みんな前田を見てましたよ。そりゃあパワーだけだったら、僕が勝っていたと思いますよ。でも芯に当てる確率とかが全然違った。体は僕より一回りは小さいのに、飛距離も出るし、当時の前田の技術がどこまでっていうのは理解できていなかったですけど、パッと見、スゲーな、しかなかった。すごいシンプルなスイングでね」。

 前田には守備でも走塁でも、能力を見せつけられた。「僕だって足も肩も負けてなかったはずなんですが、前田を見ると、自分がすべてにおいて劣っているようにしか感じなかったですね」。実際、その差は実戦に入って如実に出た。「前田は2軍でもすぐにレギュラー。僕はたまに代打で出るくらいでしたからね。でも、スゲーなって思いながら、あの頃はまだ、クソっ、負けるか、みたいな気持ちはありました。口もまともにきいてなかったですしね」。

 1990年6月6日のヤクルト戦(広島)に、ルーキーだった前田氏は「6番センター」でスタメン出場して1軍公式戦デビュー。いきなり第1打席でタイムリー二塁打を放つなど、4打数2安打1打点と結果も出した。浅井氏はその試合を見ながら「やっぱり打つよなぁと思った」という。そして、前田氏との縁はまだまだ続くことになる。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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