西武・岸は明徳義塾で甲子園を沸かせるも大学中退、独立Lからプロ入りした
西武・岸潤一郎外野手は高知・明徳義塾高で甲子園に4度出場し、投打二刀流で沸かせた。進学した拓大では怪我で1度野球を断念したが、再びプロを目指し、独立リーグの四国アイランドリーグplus「徳島インディゴソックス」から2019年ドラフト8位で西武に入団した。昨年は股関節の怪我に苦しんだが、今シーズンにかける思いを語った。
ルーキーイヤーは1軍で5試合に出場したが、投手の球威に押され、直球を打ち返すことができなかった。2年目の2021年は6月にプロ初安打となる本塁打を放つなど、100試合に出場。自信をつけたが、打率.220と課題も残った。
「多少はパワーがついて、フィジカルが強くなったかなと思います。その点で『勝負できなくはないかな』と思いました」。だが、慣れない連戦にコンディションの維持が難しかった。「移動がきつかったです。移動日に体のケアや練習をしなければいけない。そんな中で、レギュラーの方たちは好不調の波を作らない。すごいなと思いました」。
飛躍を目指した昨年は6月に出場選手登録を抹消。その後1軍に上がることはなかった。股関節の痛みもあり打撃不振に陥ったが、体の不調を自ら言い出すことができなかったという。
「今までの経験から、自分は怪我をして何もすることができないと、どんどんやる気がなくなってしまうので、ぎりぎりまでやろうと思っていました」。だが、ランニングメニューで痛みのため足が上がらず、低いハードルを越えられずにすべて倒してしまった。それを見た西口文也2軍監督が“異変”に気づいた。「もうあかんな。さすがに無理かな」と思いました。
大学時代に「誰にも相談せず」経験したトミー・ジョン手術
リハビリ期間中は、以前とは異なり意識を高く持つことができた。「環境も整っているし、情報もある。自分が成長できるようにトレーナーさんがついてくれて、体幹トレーニングなどを一緒にやってくれました」。離脱は悔しかったが、その期間を打撃の改善にも充てることができた。
大学時代は肩と肘の怪我に苦しみ、トミー・ジョン(TJ)手術を経験している。「怪我もあり、野球が楽しくなくなっていました。トミー・ジョン手術をしたら野球から離れられるんじゃないかと思って、誰にも相談せずに手術をしました」。その後、大学も中退したが、周りに支えられて怪我と向き合うことができた。「怪我をしている間でも、いろいろなことができるようになりました。1軍で活躍して、支えてくれる皆さんに恩返しをしたいと思っています」。
怪我も癒えた今季は、ここまで2軍で26試合に出場、打率.284をマークしている。ドラフト1位で早大から蛭間拓哉外野手が加入するなどライバルが増えたが「外野手全員、危機感を持っていると思います。蛭間を見ていて『なんでそんなの打てるんだろうな』と思うこともあります。年齢は関係なく、自分にないいいところを見つけて盗みたいと思っています」。
TJ手術をしたチームメートから質問を受けることがあり、自らの経験を伝えている。「きついやろうなと思います。でも、みんなプロに来るだけあって、やる気をなくす人はいない。凄いなあと思います」。自身は一度は投げだしてしまったが、諦めずに食らいつき、憧れの舞台に立った。かつて甲子園を沸かせた26歳は、これからも幾多の課題を乗り越え、躍動する姿を見せてくれるに違いない。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)