元NPB助っ人が示す年俸11億円の価値 エ軍で際立つ存在感、マイナーから這い上がれたワケ

エンゼルスのマット・ムーア【写真:ロイター】
エンゼルスのマット・ムーア【写真:ロイター】

ムーアが奮闘できる理由

 エンゼルスのマット・ムーア投手の奮闘が際立っている。今季は22試合に登板して3勝1敗、防御率1.44(日本時間26日時点)と躍動を続けている。

 2020年はソフトバンクに在籍し、13試合で6勝3敗、防御率2.65の成績を残した。NPBから復帰した2021年はフィリーズでプレーするも、先発と救援を両にらみする形で防御率6.29と結果を残せなかった。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のエンゼルス番サム・ブラム記者によれば「そのどちらの役割でも有効な活躍ができなかった」とのことだった。

 ムーアは2011年にレイズのトッププロスペクトとして100マイル(約161キロ)を計測したこともある投手だった。ブラム記者は「自分自身を完全に再構築し、エンゼルスでは球界屈指のエリート救援左腕としてプレーしている」と言及。現在はデビュー当時と比べると直球の球速が低下しているものの「技巧派でコントロールで勝負する投手」として活躍している。

 フィル・ネビン監督も「救援投手として投げることで彼は自分の得意分野を見つけた。私には2つの異なる役割の全うする難しさはわからないが、間違いなく彼は今のこの仕事で成功しているようだ」と評価していると記事では言及されている。

 ムーアは2014年シーズン中にトミー・ジョン手術を受けた。その後、カットボールを投げるようになるも、直球との相性が良くなかった。持ち球を見直し、遠投を再び取り入れることで、昨年は直球の球速と精度が上がり、被打率.179を記録した。マット・ワイズ投手コーチも「彼の直球はユニークだ。相手打者は直球を待っていると、そこから投げるチェンジアップがうまく機能する」と説明している。

 ムーアは昨季マイナー契約からのスタートだった。その後、開幕から数週間でメジャー昇格となり、結果的に63試合に登板し、5勝2敗、防御率1.95だった。ブラム記者は「彼はほぼ仕事なしの状態から、今年エンゼルスから755万ドル(約11億円)の契約を得るまでの男に変わった。彼にはその金額に見合った価値がある」と絶賛。ムーアは「僕の周りにはいい人たちがたくさんいる。僕の野球をサポートしてくれる人たちがね」と感謝を忘れていない。

(Full-Count編集部)

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