最下位低迷は“ツキのなさ”が理由? 楽天が叩き出した「異次元」のワースト数値

楽天・石井一久監督【写真:荒川祐史】
楽天・石井一久監督【写真:荒川祐史】

打球がどれだけ安打になったかを示す「BABIP」…12球団ワーストの.235

 プロ野球は30日から交流戦に突入する。各球団が40~50試合を戦ったことで、シーズンの傾向も見えてきた。パ・リーグ最下位に沈む楽天で注目されるのが異次元の“運のなさ”だ。インプレーの打球が安打になった割合が、両リーグ最下位の.235しかない。裏を返せば今後、得点力は向上する可能性があるとも考えられる。対戦相手の変わる交流戦期間中の逆襲はあるのだろうか?

 楽天はここまで44試合を戦い、17勝26敗1分けでパ・リーグ最下位。首位ロッテには9.5ゲーム差をつけられている。チーム129得点は、トップのオリックス(183点)から54点離され最下位。チーム本塁打はリーグ2位の37本を放っているにも関わらず、得点を伸ばせていない。

 規定打席以上で、最も打率の高い楽天の打者は.242の小深田だ。では打者の調子が揃って悪いのかと言えば、そうとも言い切れない。野球をデータで分析する「セイバーメトリクス」の視点には「本塁打を除くインプレーの打球がどれだけ安打になったか」を示す「BABIP」という数値がある。株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを見ると、楽天はこの数値が.235しかない。首位の阪神は.315、ブービーのヤクルトが.270で、まさに1球団だけ“低すぎる”のだ。

 この数値は、ある程度の打数を重ねれば.300前後に収束するとされている。実際、過去5年で最も低かったのは昨季の西武で.274だ。現在の楽天は、捉えた打球が野手の正面に飛ぶなど、運が悪かったためにこの数値が“たまたま”低いという見方もできる。

 主力打者の数値も同様で、島内宏明外野手が.198、浅村栄斗内野手が.226、マイケル・フランコ内野手が.231しかない。この数値でリーグトップの藤原恭大外野手(ロッテ)が.393、2位の茶野篤政外野手(オリックス)が.350あるのとは対照的だ。交流戦では戦う相手も、グラウンドも変わる。楽天がツキを取り戻し、浮上することはあるのだろうか。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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