予期せぬ抽選に「やばい」 ロッテ入りの願い届かず…焦りで騒げなかった広島入団

当たりくじは投手王国の広島「ワーワー騒げなかった」

「僕はロッテが単独で来ると予想していた。広島もスカウトが来られてましたけど、そんなに欲しそうな感じに見えなかったので、ないだろうなって思っていました」。ドラフト当日、東芝野球部はオーストラリアに遠征中だった。「都市対抗で優勝したので、そのご褒美みたいなもので、オーストラリアとハワイに対外試合をしに行っていて、その時はオーストラリアのパースにいたんです」。

 東芝のマネジャーから「今、指名があったよ」と言われた時、川端氏は「ああ、ロッテだなと思った」という。指名したのがロッテと広島の2球団と知った時は「やばいと思いましたよ。だって、12球団No.1の投手王国だからね。広島じゃ出られないって思ったので、くじの間は『ロッテ来い、ロッテ来い』って願っていましたよ」。

 北別府学、山根和夫、大野豊、川口和久、津田恒実……他にも実績組のベテラン、伸び盛りの若手が、広島投手陣にはうようよいた。だからこそ、川端氏は焦った。抽選の結果、広島1位に決まった時は「ワーワー騒ぐことができなかった自分を覚えています」。でも、そんな時に思い浮かんだのは病いと闘う父・治さんだった。「親父は山本浩二さんと衣笠さんが好きだったんで喜んでいるだろうなってね。広島は徳島から近いし……」。

 広島で厳しい1軍争いが待っていることは想定できたが、もう後戻りはできない。川端氏は即戦力のドラフト1位ルーキーとして、全力を尽くすことを誓った。入団発表の時には「目標は北別府さんです」ときっぱり。父の夢をかなえたプロ入り。カープの川端としての新たな戦いが始まった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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