長打不足の中日に“希望の星”、阪神には異次元の先発投手 セイバー目線の5月MVP

阪神のドラ1軍団が「wRAA」で上位も…トップは低迷の中日から

 阪神は投手陣の安定に注目が集まるが、実は得点もリーグ1位と盤石の戦いぶりである。昨年優勝のヤクルトは5月16日以降、白星を上げられぬ間に5月を終了してしまった。打線は点を取っているものの、いかんせん投手陣の失点がそれを上回っている。また、初回失点確率が32%と先制を許す場面も多く、先制を許してしまうと逆転勝ちできる確率も9.1%となってしまっている。そんなセ・リーグのセイバーメトリクスの指標による5月の月間MVP選出を試みる。

 打者の評価としては、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合より、どれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。セ・リーグ打者の「wRAAランキング」は以下の通り。

○細川成也
wRAA:12.03、106打席、OPS.986、打率.360、本塁打5

○岡本和真
wRAA:11.57、101打席、OPS1.053、打率.302、本塁打9

○宮崎敏郎
wRAA:10.71、89打席、OPS1.065、打率.347、本塁打6

○村上宗隆
wRAA:9.98、108打席、OPS.937、打率.270、本塁打7

○牧秀悟
wRAA:7.79、99打席、OPS.940、打率.304、本塁打7

○近本光司
wRAA:7.38、113打席、OPS.885、打率.327、本塁打1

○大山悠輔
wRAA:7.13、104打席、OPS.894、打率.294、本塁打3

○佐藤輝明
wRAA:6.28、101打席、OPS.869、打率.272、本塁打5

 上位8人中3人が阪神の選手である。なお、近本は2018年、大山は2016年、佐藤輝は2020年のドラフト1位で入団した野手である。また、2022年のドラフト1位の森下翔太を含めると、1位指名の選手がスタメンに4人も名を連ねることとなる。これは阪神の近年のドラフト戦略の成功を物語っている。

 5月のセ・リーグで、最もチームに貢献したとデータが示している選手は、中日の細川成也である。シーズンオフに実施された初めての現役ドラフトによってDeNAから中日に移籍したが、チームに不足していた長打力を買われ、主に3番でのスタメン出場の機会を得るようになった。中日の月間本塁打は17本だが、そのうち5本が細川によるものだ。また5月の得点圏打率が4割と、チャンスで結果を残してきた。得点力不足に泣かされてきた中日の救世主となるべく活躍を続ける細川成也を、5月のセ・リーグ月間MVP打撃部門に推挙する。

投手部門も上位は阪神、大竹耕太郎が残した驚異的な記録

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