日本ハム支える23歳“怪力”スラッガーに成長の跡 セイバー目線で選ぶパの5月MVP

日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】
日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】

投手力安定のロッテは打も復調、日本ハムが上昇の5月

 好調なチームと、波に乗り切れないチームとの差が徐々に開き始めた5月のパ・リーグの「月間MVP」をセイバーメトリクスの指標で選出してみる。選出基準は打者の場合、得点圏打率や猛打賞回数なども加味されるが、基本はNPB公式記録が用いられる。ただ、打点や勝利数といった公式記録は、セイバーメトリクスでは個人の能力を如実に反映する指標と扱わない。そのため、セイバーメトリクス的にどれだけ個人の選手がチームに貢献したかを示す指標で選べば、公式に発表されるMVPとは異なる選手が選ばれることもある。まず、5月のパ・リーグ6球団の月間成績を振り返る。

○ロッテ:12勝6敗2分
得点率3.95、打率.247、OPS.717、本塁打18
失点率2.80、先発防御率2.58、QS率55.0%、救援防御率2.92

○日本ハム:14勝11敗
得点率3.08、打率.223、OPS.642、本塁打22
失点率2.59、先発防御率1.95、QS率56.0%、救援防御率2.57

○オリックス:13勝10敗2分
得点率4.33、打率.265、OPS.702、本塁打16
失点率2.92、先発防御率2.42、QS率60.0%、救援防御率3.38

○ソフトバンク:12勝9敗2分
得点率3.83、打率.244、OPS.660、本塁打17
失点率3.64、先発防御率3.65、QS率43.5%、救援防御率3.52

○楽天:9勝13敗1分
得点率3.00、打率.216、OPS.632、本塁打18
失点率3.56、先発防御率2.61、QS率65.2%、救援防御率3.34

○西武:7勝16敗1分
得点率2.04、打率.210、OPS.555、本塁打11
失点率3.76、先発防御率4.25、QS率54.2%、救援防御率2.08

 4月に続き、月間勝率1位を勝ち取ったのはロッテ。先発、救援ともに2点台の防御率を誇る安定の投手陣に加え、徐々に打線にも活気が生まれ、チーム月間OPS.717はリーグ1位である。4月はホームでの強さが目立ったが、5月はビジターでも8勝4敗と4つの貯金に成功。1度も連敗を記録しない安定の戦いぶりであった。安定の要因の一つとして、初回失点率5.6%と、相手を勢いづかせない先発投手陣の立ち上がりの良さがある。

 4月に最下位発進となった日本ハムは、5月攻勢で月間14勝をマーク。球団史上、2019年5月以来4年ぶりだ。4月からは投手陣が大きく改善し、先発防御率が1点台と安定してきた。楽天と西武はともに月間チーム打率が2割1分台と低迷。特に西武の得点率が2点台と深刻な得点力不足にあえいでいる。そんなパ・リーグの、セイバーメトリクスの指標による5月の月間MVP選出を試みる。

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