2球団から誘いも「情熱がなかった」 引退、コーチへ…ドラ1が選んだ32歳での幕引き

野球への「情熱がなかったために成績も伸びなかった」

 川端氏は10日間考えた末に、引退して2軍投手コーチ就任の道を選択した。「みんなに、なんでやめるんだ、普通なら、まだ現役を続けるだろうって言われた」という。その時、まだ32歳。体的にもまだまだ投げられる状態だったのだから無理はない。しかし、あえて現役をカープで終えた。そこにはプロ4年目を終えた頃から、中継ぎ中心の便利屋稼業に微妙に本気になれなかった自分が関係していた。プロ6年目に父・治さんが亡くなったこともある。病気の父の夢をかなえるためにプロに入っただけに……。

「まぁ、情熱があったら、日本ハムかロッテに行ってやったはずなんですけどね。野球に対する情熱は僕の素質のひとつなんですよ。やっぱり、その情熱がなかったために、成績も伸びなかったしね。プロで活躍している人って野球にすごく情熱を持っている人です。その集団ですよ」。川端氏は何度も「情熱」という言葉を口にした。それは本音なのだろう。でも「カープでいらないってなったらね……」とも寂しそうに付け加えた。

 引退会見で川端氏は「山本監督と衣笠さんと一緒に現役の時にプレーできたというのが僕の財産です」と話した。亡き父が大ファンだったのも山本浩二さんと衣笠さん。父の夢をかなえ、喜んでもらった。プロ2年目に11勝7敗7セーブ、防御率はリーグ2位の2.72の成績をマークして新人王に輝いた。4年目には10勝2敗2セーブ、オール中継ぎで規定投球回に到達して防御率はリーグ2位の2.42だった。

 川端氏のプロ9年間の通算成績は310試合、46勝26敗19セーブ、防御率3.00。その間に背番号は「13」「33」「17」と変わった。いろいろあった現役生活だったが、カープのために投げ切ったのは間違いない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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