見たくない“バックスクリーン” 開幕からまさかの不振…山口航輝が立ち向かう壁

ロッテ・山口航輝【写真:加藤夏子】
ロッテ・山口航輝【写真:加藤夏子】

和製大砲として大きな期待を受けたシーズン…不振に苦しんだ2か月

「最悪っす。最悪」。ロッテの22歳・山口航輝外野手は、シーズン序盤の2か月を終え、自分自身に厳しい言葉をかける。「すべてにおいてダメですね」。今季は大きな期待と、自信を持って迎えたシーズン。その出だしは、誰が見ても納得いくようなものではなかった。

 昨季はチーム最多の16本塁打を記録。ただ、昨春のオープン戦は思うようにいかず、開幕スタメンを逃していた。「去年はオープン戦で結果が残せなくて、開幕スタメンじゃなかったので、今年は序盤からやってやろうという気持ちがありました」。

 練習試合とオープン戦で計7本塁打を記録し、今季は開幕から本塁打を量産……するはずだった。オープン戦後半から自打球の影響もあり、快音が止んでしまった。ソフトバンクとの開幕2戦では、7打数無安打。打球が一度も前に飛ばず、6つの空振り三振を喫した。試合後にはベンチで1人うなだれ、涙をぬぐった。「どうしたらええんやろうって、しんどかったですね……」。昨季を経て、相手も攻め方を変えてくる。昨季を超える成績を残そうとする焦りも、打撃のズレを生んでいた。

 開幕3戦目では2安打を放ち、その後は4番で起用され続けるも、なかなか調子が上がってこない。一方で、チームは好調で首位を争っていた。「打順はあまり気にしてないですけど、チャンスで一本出なかったり、自分が打てば勝てる試合もあった」と唇をかむ。

 4月8日の試合を終えて打率.280も、その後は下降する一方。球場のビジョンには、選手名の横には打撃成績が表示される。自分の名前の横には、見たくもない数字が並んでいた。「バックスクリーンとか見ても、自分のモチベーションを上げていくところがない。打率、HR、打点、どれもが低いので、自分を高めていける物がない。落ち込むというか、気持ちの持ちようが難しい」。メンタル的にも、悪循環に陥っていた。

開幕から80打席目、“笑顔なし”の今季1号「何にも嬉しくなかった」

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