痛打浴びベンチで涙…直後届いた「ナイスピッチ!」 投げ方忘れた侍右腕を救った“親友”

山崎颯の気遣い「そのぐらいの関係なので良いんです」

 小さな液晶画面を見て、ふと笑った。同じ舞台で奮闘したいと胸に誓った。宇田川は3月に行われた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では「侍ジャパン」の一員として3大会ぶりの世界一に貢献。大会期間中は2試合のマウンドを経験し、無失点投球を披露した。

 活躍が注目され、順風満帆と思われた2023年シーズンだったが、信頼感が高まるにつれて緊迫した状況での登板を任されることも多くなり、上半身のコンディション不良で4月23日に出場選手登録を抹消された。2軍再調整で状態の向上に努めたが「投げ方がわからなくなってしまったんです……」と暗闇の中に潜り込んでしまった。

 7日には首脳陣の配慮もあり、1日限定で1軍練習に参加。究極の“気分転換”では「みんなに会えたので、刺激になりました」と曇っていた表情が一変した。山崎颯とも顔を合わせ「お前しかおらんぞ、あんなメッセージ!」と無邪気に笑い合った。

 なぜ、山崎颯は即座に「ナイスピッチ!」とメッセージを送ったのか――。「気にすんなよ、という意味ですね」。深いエクボを見せ、続ける。「僕は逆に心配されたくないんです。心配されると嫌になる。自分がされて嫌なことをしてはいけないなと思ってLINEしました」。“親友”にしかできない気遣いだった。

 話を進めると「よく考えたら、ナイスピッチ! もムカつきますけどね(笑)。でも、それぐらいの関係なので良いんです。いつもの雰囲気だから」と“吹田の主婦”は目を細める。悩める剛腕のメンタルを“好救援”。友情でピンチを脱出した。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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