劇的弾を生んだ指揮官との“師弟愛” 悩みの中で腹括った15年前の「心中する覚悟」

2年目に全試合スタメンで起用「もう今日は外そうと決めて球場に来た日もある」

 指揮官として坂本のルーキー時代を語れるのは、原監督以外にいない。“原監督第2次政権”時代の2007年9月6日、敵地で行われた中日戦で同点の延長12回2死満塁の場面に、当時18歳の坂本を代打で起用。プロ初安打を決勝中前適時打で飾らせたのが、全ての始まりだった。

 翌2008年には開幕スタメンに抜擢。打撃不振に悩む時期もあったが、全144試合スタメンで起用した。原監督は当時「もう今日は坂本をスタメンから外そうと、心に決めて球場に来た日もある。しかし、その度に、必ず爽やかにあいさつをしてきて、前向きに練習に取り組む姿を見せられて、『よーし、こうなったら心中する覚悟だ』という気持ちにさせられるんだよ」と語っていたものだ。

 坂本はベテランの域に入り、原監督は7月の誕生日に65歳となるが、師弟の信頼関係に大きな変化はないように見える。「なかなか自分が思うような打撃ができていない中で、原監督からもアドバイスをいただきながら、まだまだ若いつもりでやっています」。坂本はそう言って、甘いマスクを綻ばせた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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