好調エ軍にある一体感…5連敗中の左腕に「LOSER」 勝利呼んだ同僚の“いたずら”

ロイヤルズ戦に先発したパトリック・サンドバル【写真:ロイター】
ロイヤルズ戦に先発したパトリック・サンドバル【写真:ロイター】

サンドバルのロッカーのネームプレートに「LOSER」の張り紙

■エンゼルス 3ー0 ロイヤルズ(日本時間17日・カンザスシティ)

 長いトンネルから抜け出した。エンゼルスのパトリック・サンドバル投手は16日(日本時間17日)、敵地・ロイヤルズ戦で約1か月半ぶりとなる4勝目を挙げた。ここまで5連敗中だったが、この日は4四球を与えるも本塁を踏ませず。7回無失点の好投を見せた。

 初回に先制点をもらうと6回まで毎回走者を出したが、2度の併殺などでピンチを切り抜けた。7回は3者三振に抑え、納得の投球で2番手に託した。チームは今月に入り10勝5敗と勢いに乗っているが、サンドバルは5月2日の敵地・カージナルス戦以来勝ち星がなかった。久々の勝利に「なかなかよかったね」と喜びをかみしめた。

 サンドバルこそ、直近5試合は苦しい投球が続いていたが、チームには一体感があった。前日15日(同16日)、レンジャーズ戦の試合前のロッカールーム。サンドバルのネームプレートの上に「LOSER」の文字が貼られていた。犯人は同い年のグリフィン・キャニング投手だった。

 ホームでは、サンドバルのロッカーは大谷翔平投手の隣だが、テキサスでは大谷の向かい側。普段からちょっかいを出されている二刀流から逃れられると思いきや、新たな“隣人”もいたずら好きだった。サンドバルがネームプレートを見た後に周囲を見回すと、キャニングがニヤリと笑った。

 5連敗中の左腕にはキツイいたずら。しかし、決して悲観したり本当に怒ったりはしなかった。サンドバルはキャニングのイスを遠くに飛ばして反撃。メジャーリーガー2人のお茶目な戦いにクラブハウスには笑いが沸き起こった。

 その“おまじない”もあってか、この日の左腕は7回無失点と今季最高の投球だった。試合後、「LOSERと書かれていましたが、WINNERになりましたね」と聞かれると「その通り、今日は僕が勝者だ。ハハハハ、サンキュー!」とご満悦だった。キャニングも「うれしいよ。いい投球をしたし、彼は勝った」と勝利を祝福した。

 この勝利で、チームはワイルドカード争い(上位3チームがプレーオフへ)でゲーム差なしの4位につけた。大谷もレンジャーズとの4連戦後に「みんな気持ち入ってますし、ベンチでの熱気もここ最近で一番じゃないかと思う」と話していた。キツイいたずらもチームの雰囲気がいい証拠。2014年以来のプレーオフ進出へ、流れが来ているような気がする。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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