根尾昂も藤原恭大も「なぜか僕の部屋に全員」　2軍でもがく吉田輝星を支える“同期の絆”

使っていない球種も豊富「何でこれ使わないのって言ってくれる」

　日々のキャッチボールでは、持ち球全てを試しているという。カーブやチェンジアップといった、実戦ではあまり投げないボールも。その中で発見があった。「数えると8球種あるのに、2球種しか投げていなかった」。昨季の1軍ではリリーフ登板が続いたことで、緩い変化球を投げにくかったのも理由の1つ。2軍での修行が続く今、一つでも多くの球種を試合で投げられるようにしたいと、レベルアップに励む。

「カーブが去年はうまくいかなかった。（石川）直さんに教えてもらって、練習しても1年間ダメだったのが、今年はできてきている。前はサインが出たらどうしようかなと思っていたのが、普通に投げられるようになった。もっと使っていきたいです」

　2軍での登板は、先発することがあれば、試合の最後に投げることもあるという状況だ。どんなポジションでも自身の出力を出し切り、相手を抑え続けるしか1軍に戻る方法はない。

「なんでこれ使わないの？　と周りが言ってくれるボールもたくさんある。建山さん（1軍投手コーチ）はシュートがいいと、試合でも絶対使えと言ってくれて。宇佐見さんとかはカーブがいいと言ってくれて。少しずつ、変わってきているなと思っています」

　直球の威力でファンを沸かせた2022年を「声出し応援禁止の中でも、声を出している人がいて……。アドレナリンも出ます。ああいうところで投げないとダメだと思いましたね」と振り返る。今も鎌ケ谷では、マウンドに向かう背番号18に温かい拍手が飛ぶ。日の当たるところまで、もう少しだ。

〇著者プロフィール
羽鳥慶太（はとり・けいた）神奈川で生まれ、愛知、埼玉などで育つ。立大卒業後、書籍編集者を経て2001年、道新スポーツに入社。プロ野球日本ハムを12年間担当し、WBCなどの国際大会、アマチュア野球、平昌冬季五輪なども取材した。2021年よりFull-Count編集部所属。

（羽鳥慶太 / Keita Hatori）