大砲候補なのにHRを「狙わない」 悩める21歳に迫る期限…刻む“大先輩”の言葉

広島・木下元秀【写真:真田一平】
広島・木下元秀【写真:真田一平】

吉田正尚の助言「狙えば狙うほど長打は出にくくなる」

 一方で、入団以来こだわりを持っていた長打へのアプローチは変えた。そこには高校の先輩で、現在はレッドソックスで活躍する吉田の存在があった。

「正尚さんから『長打を狙うほど、大きいのは出にくくなる。ヒットの延長が長打になるくらいの気持ちで打席に入ったほうがいい』と言われてから打席の入り方が変わってきました。秋山(翔吾)さんにも同じことを言われていました。今はヒットでもいいという気持ちで打席に入っています」

 いまだ外野スタンドに打球を運んでいない。しかし、新たな取り組みの積み重ねが、少しずつだが結果につながってきている。6月16日に行われたウエスタン・リーグ阪神戦では、今季初の“猛打賞”を記録。左翼に二塁打、右翼にタイムリーを放つなど、広角に打ち分け存在をアピールした。

 木下は「(3安打は)奇跡です」と話したが、結果は大きな励みとなったはず。「1日、1日、悔いがないようにプレーしていくことだけ考えています。チャンスがある限り、アピールを続けていきます」。今年の支配下登録の期限まで残り約1か月。変えること、変えないことを頭で整理し、全力プレーで活路を見出していく。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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