岡本和真は「いいやつなんだよな」 衝撃被弾に“お手上げ宣言”も…今永昇太の本音

巨人戦に先発したDeNA・今永昇太(左)と20号アーチを放った巨人・岡本和真【写真:矢口亨】
巨人戦に先発したDeNA・今永昇太(左)と20号アーチを放った巨人・岡本和真【写真:矢口亨】

先制弾浴びるも残る2打席は打ち取った

■DeNA 2ー1 巨人(7日・東京ドーム)

 侍同士の間で火花が散った。DeNAの今永昇太投手は7日、東京ドームで行われた巨人戦に先発し7回6安打無四球1失点に抑え、今季6勝目(1敗)。7者連続を含め、球団記録に並ぶ1試合15奪三振(3人目)もマークした。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でともに優勝に貢献した巨人・岡本和真内野手には2回に先制の20号ソロを浴びたが、その後の2打席ですぐに“借り”を返してみせた。

 衝撃的な一発だった。巨人との今季初対戦を迎えた今永は2回、先頭の4番・岡本和にカウント2-2から、外角高めに投じた151キロの速球をものの見事に左中間席中段まで運ばれ、先制を許した。「お手上げ状態というか、たぶんこれは何回対戦しても彼を抑えられないかもしれない、と思ったほど素晴らしい技術でした」と脱帽した。

 それでも勝負には勝たなければならない。1-1の同点に追いついて迎えた4回。1死走者なしでの岡本和の第2打席では、フルカウントから内角低めいっぱいに、この日最速タイの152キロのストレートを投げ込んだ。ボールと見た岡本和は一塁へ歩きかけるも、判定は「ストライク」で見逃がし三振。今永は思わず左手でバチンとグラブをたたきながら、歓喜の雄たけびを上げた。

 最後の第3打席は、同点のまま迎えた6回2死二塁のピンチ。カウント1-1からインハイの145キロのカットボールで詰まらせると、飛球がマウンドからやや一塁方向の地点に舞い上がる。今永は自ら手を上げて内野手を制し、拝むようにしてボールをグラブに収めた。窮地で4番を抑えたことが、直後の7回に、戸柱恭孝捕手の決勝4号ソロを呼んだのだった。

「人間として素晴らしい面がある。それがWBCでわかりました」

 岡本和と3度対戦して2度抑え、勝利をものにした。しかし「彼が僕の思い描いた反応をしてくれなかったり、むしろ彼の間(ま)になっていると感じさせられたりして、これほどレベルの高い選手なのか、手強いなという気持ちで見ていました」と、試合後も表情を緩めることはなかった。

 今永はWBCで、決勝の米国戦に先発するなど重要な役割を果たした。かたや打率.333、2本塁打7打点の打棒を振るった岡本和。今永は「彼(岡本)はどれだけ成績を残そうが、どれだけ給料が高かろうが、人間として本当に素晴らしい面がある。それがWBCでわかりました」と評し、「今日も、こんなにすごいバッターだけれど、めちゃくちゃいいやつなんだよな、と思いながら投げていました」と笑わせた。

 今永自身は“投げる哲学者”の異名を取る。7回2死二、三塁のピンチで、岸田行倫捕手を全5球、151キロのストレートで空振り三振に仕留めた場面については、「最近(トレバー・)バウアー(投手)と、股関節の屈曲角度と重力を利用するという話をしたので、僕もちょっとだけ股関節の角度を深くして投げました」と高度すぎる説明を披露してくれた。

 チームの25年ぶりリーグ優勝へ向け、最近5連勝で本領を発揮し始めた来日1年目のバウアーとともに、投手陣の“両輪”として機能。1位から4位まで4.5ゲーム差内にひしめく混戦(7日現在)の中、巨人の主砲との再戦もなおさら楽しみになる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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