1死しか奪えず降板も…ドラ1候補左腕の「評価は変わらない」 スカウトが得た“新発見”

大学日本代表・細野晴希【写真:川村虎大】
大学日本代表・細野晴希【写真:川村虎大】

日米大学野球に出場した細野は1死しか奪えず3失点降板

 今まで抑えられていた球が通用しなかった。今秋のドラフト1位候補とも言われる最速155キロ左腕の細野晴希投手(東洋大)は、自信をもって投じた直球をはじき返された。8日(日本時間9日)に行われた第44回日米大学野球選手権の第2戦。わずか1死でマウンドを降りる、ホロ苦い“侍デビュー”となった。

「力のなさを感じました」。そう言って肩を落とす。この日、1-5の5回から登板した細野は左前打と四球で無死一、二塁のピンチを作った。3番・コンドンを空振り三振に仕留めた後に、第1戦で飛距離440フィート(約134.1メートル)の特大弾を放っている4番・カグリオーンに中前適時打を浴びた。さらにカルペッパーに死球を与えたところで降板。3番手の上田大河投手(大商大)も適時打を浴び、1/3を投げ2安打2四死球3失点だった。

 今春の東都大学2部リーグでは5勝負けなし、防御率0.84と圧倒的な成績を残した東洋大のエース。武器は最速155キロの直球だったが、米国打線には通用しなかった。

「初見であれだけ打たれたのは初めて。力の差を感じました。4番のジャック(カグリオーン)に投じた球は力を込めた真っすぐだったので。それをはじき返されたのは、悔しかったというか。実力不足というか……」

ソフトバンクは3人体制で視察…「投げている球は日本と変わらない」

 反省の弁を述べる細野だったが、スカウト陣の評価は変わらなかった。この日、ソフトバンクは3人体制で視察。福山龍太郎アマスカウトチーフは「新たな発見になった」と、今回の苦戦にポジティブな見方をする。

「普段は先発でしか見たことがなかったので。急ピッチでの準備の仕方とかを見られてよかったです。日本では、あれだけ直球をはじき返されることはないでしょうから。少しバタついていました。ただ、投げている直球は日本と変わらず伸びていたと思います。この試合で評価が変わるということはありません」

 日本代表では普段のチームとは違うポジションを任されることもある。スカウトたちにとって、それはひとつの視察チャンス。「もし縁があった時にどんな場面で使うことができるか、どう鍛えれば『ここでも使える』となるか。考える選択肢の幅が増える」と福山スカウトも話す。すでに一定の評価を得ている細野だが、スカウト陣を驚かせることができるか。米打線への“リベンジ”に期待したい。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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