巨人浅野、2三振も評価される理由 高卒野手の壁も問題なし…専門家が見た“スイング軌道”

1軍デビュー戦は2三振に終わった巨人・浅野翔吾【写真:小林靖】
1軍デビュー戦は2三振に終わった巨人・浅野翔吾【写真:小林靖】

浅野の1軍デビューは2打席連続三振、新井氏は「思った以上に木製バットを使いこなせている」

 巨人は9日に行われたDeNA戦(東京ドーム)で延長12回の死闘を演じたが0-1で敗れた。カード負け越しで3位浮上を逃したが、ドラフト1位ルーキー・浅野翔吾外野手が1軍デビューを果たし、大きな注目を集めた。野球評論家の新井宏昌氏は「金属打ちから木製バットに慣れ、バットにしなりが出ている」と、大きな期待を寄せている。

 大きな意味を持つ2打席だった。浅野は8日のDeNA戦で6回に代打で登場。プロ初打席は左腕・田中健が投じた142キロの直球に空振り三振に倒れると、8回の第2打席も左腕・石川の直球にバットは空を切った。7回の守備では人工芝に足をとられ転倒するシーンもあったが、堂々としたデビュー戦で観客を沸かせた。

 高卒ルーキーの早期デビュー戦に新井氏は「現段階で1軍のレギュラーを狙えるかは別として、スイング、構えは堂々としたものを持っている。何より打席のなかで、しっかりと振りにいけたのが一番の収穫だったのではないでしょうか」と評価した。

 第1打席は初球の内角直球を見逃したが、2球目はバットを折られながらも三塁線へファウル。空振り三振に倒れた最後の直球にも迷いないスイング。第2打席はストライクを全球振りにいくなど、持ち味の積極性を見せつけた。結果だけをみれば2三振だが「スイングスピードも申し分ない。思った以上に木製バットを使いこなせている」と注目した。

ドラ1高卒ルーキーは「代打要員、守備固めで置いておく選手ではない」

 高卒野手が最初にぶつかるのが木製バットだ。オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを務めた新井氏は、金属バットとの違いは「芯の広さ」だとし「金属は力のある打者ならヒットゾーンに持っていけるが、木製は折れて内野の頭を越えない場合がある」と“金属打ち”を克服できない選手を何度も見てきたという。

 だが、浅野のスイング軌道は一味違うようだ。プロ入りしてから半年が過ぎたばかりだが「2打席だけしか見ていないが、バットのしなりを利かせたスイング」と目を細める。「木製はヘッドのしなりが重要ですが、彼のスイングにそこまで違和感は感じない。ヘッドを上手く使えている」。がむしゃらなフルスイングのように見えるが、基礎の部分は問題ないという。

 巨人で高卒ルーキーが1軍に出場するだけでも評価できる。ただ、1軍の外野陣は秋広、ブリンソン、丸、梶谷らが並び、右の代打でも長野、中島ら実績のあるベテランが君臨している。原監督も即戦力とは思っていないだろうが、1軍にいる以上は結果が求められる。

「どこまで出場機会が貰えるか。代打要員、守備固めで置いておく選手ではない。少ないチャンスをものにして首脳陣から『先発で使いたい』と思わせることが必要。余程のことを見せないといけない。そこが難しいところ。どういったプランで育成していくのかも見ものです」

 プロ野球人生の一歩を踏み出した背番号「51」。3年ぶりのリーグ制覇を狙うチームは、激しいAクラス争いの真っ只中。期待の新星がどこまで1軍に食らいつけるか注目だ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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