巨人、鉄壁内野陣で守備王国構築へ 原監督が語った“エラー4割減”の理由

巨人・門脇誠(左)と吉川尚輝【写真:矢口亨】
巨人・門脇誠(左)と吉川尚輝【写真:矢口亨】

坂本不在中に存在感を発揮した新人門脇

■巨人 6ー3 中日(29日・東京ドーム)

 巨人は29日、本拠地・東京ドームで中日を6-3で下し、3連勝を飾った。二塁の吉川尚輝内野手、三塁のドラフト4位ルーキー・門脇誠内野手らが好守を連発。今季の巨人はチーム失策数がリーグ最少の32(29日現在、以下同)の堅守を誇っており、上位進出へ向け、守備に活路を見出していく。

 勝敗を分けたプレーだった。巨人は5-3とリードして迎えた7回の守備で、先発の山崎伊織投手が2死二塁のピンチを背負うと、原辰徳監督が左腕・今村信貴投手へスイッチ。代打で登場した中日・石川昂弥内野手の打球は一、二塁間を襲ったが、吉川がスライディングしながらボールを抑える。一瞬、グラブからボールがこぼれたものの、落ち着いて一塁へ送球し、勝利を引き寄せた。

 吉川は打っても、初回先頭で中日先発の高橋宏斗投手から中前打を放ってチャンスメークし、秋広優人内野手の遊ゴロの間に先制のホームイン。2回1死一、二塁で迎えた第2打席でも、カウント3-0から真ん中高めに来た高橋宏の151キロを右前へ弾き返し1打点をマークした。攻守に貢献度が高かったわけだが、原監督は「今季の彼の守備は浮き沈みがなく、非常に安定しているし、ファインプレーも出ている」と特に守りの面を強調した。

 巨人は遊撃の絶対的レギュラーで精神的支柱の坂本勇人内野手が、6月24日に怪我で戦列を離れ窮地に陥った。しかし、坂本の不在中、門脇が代役のショートとして新人離れした守備力を披露し、吉川との二遊間コンビで輝きを放った。7月28日に坂本が復帰した後も、門脇はサードへポジションを移してスタメン出場を続けている。

昨季82失策から4割減ペースの進歩

 原監督は「吉川、門脇。この辺の内野の守備は非常にいいものが出ているし、(坂本)勇人もそれに負けじとやってくれているのは大きいですね」と思わず口元を綻ばせる。若手から刺激されてか、復帰した34歳の坂本も軽快なフットワークとグラブさばきを見せている。ファーストの岡本和真内野手を含めた守備は鉄壁だ。

 今季90試合を消化し、リーグ最少の32失策。昨季は阪神に次いで2番目に多い年間82失策を喫したが、今季は今のところ年間51失策ペースで、4割近く減る計算だ。原監督は「川相(昌弘1軍総合)コーチの指導のたまものだと思いますよ。しつこいほどやるからね」と、現役時代に遊撃手としてゴールデン・グラブ賞6度を誇った川相コーチが今季から現職に就任した効果を指摘する。

 一方で指揮官は「あとは秋広くらいかな」と、レギュラー1年目で外野や一塁をこなし、球際で多少バタつくことがある秋広に守備力向上を求める。「(30日が)土用の丑の日だからさ、山椒のピリッときいたような守備力になってほしいね。今はまだ甘いデミグラスソースかな」と笑わせた。

 弱冠20歳の秋広には少し酷な注文にも聞こえるが、原監督は「彼はスタートしたばかりですから、まだまだ伸びる要素がうんとある。守備だろうが、走塁だろうが、打撃だろうが、バントだろうが、貪欲に1日1日を糧にしてほしい。あえて厳しく言ったけれど、われわれも甘やかした目で見ることなく、しっかり育てていきたい」と真意を説明した。常勝への道は、まず守備から。原監督は妥協することなく、チームを鍛え上げていく。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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