巨人・秋広、配置転換で見えた「5番」で生きる道 原監督が課す“本当の主軸”への壁

8回に決勝適時打を放った巨人・秋広優人【写真:矢口亨】
8回に決勝適時打を放った巨人・秋広優人【写真:矢口亨】

原監督の辛口コメントには「うなぎは好きですが辛い物が苦手なので、甘ダレで」

■巨人 4ー0 中日(30日・東京ドーム)

 巨人は30日、本拠地・東京ドームで行われた中日戦に4-0で勝ち、同一カード3連勝を記録した。27日の阪神戦からの連勝は4に伸びて、ナイターでヤクルトに敗れた3位DeNAとのゲーム差は0.5に縮まった。「5番・左翼」で出場した20歳の秋広優人内野手は、前日に原辰徳監督から「彼の守備はまだまだ“甘い”デミグラスソース」と苦言を呈されていたが、この日は好守で、相手の攻撃の芽を摘む活躍。打っても、0-0の8回に値千金の決勝2点適時打を放った。

 両軍無得点で迎えた7回の守備。中日の先頭・細川成也外野手の打球が三塁線を破り、転々として左翼フェンスに到達する。しかし、秋広がクッションボールを巧みに処理し、即座に二塁へ送球して、細川を一塁にとどめた。二塁打となっていれば、ノーアウトで得点圏に走者を背負うところだけに、勝敗に関わる大きなプレーだった。秋広自身「守備ではこれまでチームに迷惑をかけてきた側ですが、あのプレーはベンチに戻ってから、いろいろな方にほめていただきました。これからも隙のないプレーをしていきたいです」とうなずいた。

 リーグ最少の34失策(30日現在)という堅守を誇る今季の巨人にあって、原監督は前日、「あとは秋広くらいかな。秋広にも、山椒がピリッときいた守備力になってほしいね。今はまだ甘いデミグラスソース」とユーモアたっぷりに注文をつけた。秋広は一夜明けた土用の丑の日に、早速回答してみせた格好に。試合後には「うなぎは好きですが、辛い物が苦手なので、甘ダレで!」と笑わせつつ、守備に関しては「ピリッとします」と強調した。

 打撃も引き続き好調だ。8回に4番の岡本和真内野手が申告敬遠で歩かされた直後、1死一、二塁の先制機で打席に立った。中日2番手・清水達也投手の初球のカーブが暴投となる間に、走者はそれぞれ進塁し二、三塁に。秋広は2球目のフォークがやや高めに浮いたところを、逃さず右前に運び、2人の走者を迎え入れた。

試合後に観客の声援に応える巨人・秋広優人【写真:矢口亨】
試合後に観客の声援に応える巨人・秋広優人【写真:矢口亨】

5番に配置転換「和真さんを歩かせて僕で勝負が増える」

 6月17日から25試合連続で3番打者としてスタメン出場していたが、28日に坂本勇人内野手の戦列復帰のタイミングで「5番」に配置転換された。原監督は「僕たち(首脳陣)としては、昇格だと思っています。彼の勝負強さを買って、3番から少し昇格しました」と説明。「5番打者は非常に重要でね、4番をカバーするという役目もある。まだまだ荷は重いかもしれないけれど、なんとか乗り越えてほしい」と期待を寄せている。

 そんな原監督の言葉を伝え聞いた秋広は、「一番ホームランを打てる(岡本)和真さんの後ろを打つということで、和真さんを歩かせて僕で勝負という場面が増えるという意味かなと、勝手に解釈しています」。その上で、「今日もそういう場面で打席が回ってきましたし、もっともっとチャンスに強い選手になれるように頑張っていきたいです」と決意を新たにした。

 規定打席に到達し、打率も.295に上昇。シーズン3割も射程圏内である。原監督は期待の大きさゆえに、手綱を緩めることなく、走攻守に高いハードルを設けてくるが、秋広にはそれを受け入れるだけの大きな度量がある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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