打率2割でも…評価される虎ドラ1の「大きな武器」 独走のチームで示す“スターの素質”

阪神・森下翔太【写真:荒川祐史】
阪神・森下翔太【写真:荒川祐史】

阪神のドラフト1位ルーキー・森下翔太を新井宏昌氏が分析

■阪神 5ー3 ヤクルト(13日・京セラドーム)

 16年ぶりの10連勝をマークし首位を独走する阪神は、最短で15日にも優勝マジックが点灯する。18年ぶりのリーグ制覇を目指すチームの3番に定着したのが、ドラフト1位ルーキー・森下翔太外野手。開幕序盤の不調から8月は打率.280へと状態を上げてきた新人を、名球会員で野球評論家の新井宏昌氏が分析した。

「現状の数字だけを見ると飛び抜けたものは残していないが、走攻守で思い切りがいいのが一番の魅力。怖さを知っていないところもあるが、今はそれでいい。岡田監督が信頼し、3番に起用するだけのことはある」

 森下は「6番・右翼」で開幕スタメンを勝ち取ったが、3、4月は11試合の出場で打率.161、0本塁打、5打点と結果を残せず登録を抹消。5月中旬に昇格を果たすも、6月に2度目の2軍落ちを経験。それでも持ち味の積極性と長打力を見失うことなく、6月末に再昇格を果たすと、7月25日からここまで3番打者に固定されている。

 13日のヤクルト戦(京セラドーム)でも、3回1死一塁の第2打席では2球目の直球を弾き返し左前打、8回の第5打席では初球151キロの直球を捉える左前打を放ち今季10度目のマルチ安打を記録。ここまで打率.228ながらカウント0-0からの“初球打率”は.323と、積極性を武器に好成績を残している。

「打撃に関して初球からどんどん振れることがいい。打撃のなかで自分のスイングでバットを振ることは、簡単そうで難しい。そのなかでもフルスイング。これは素晴らしいこと。結果が出ないときはボールを見ていく、バット出ないことが多々あるが、彼にはそれを感じない。どんな状況でも積極性のあるスイングができる。これはこの先も大きな武器になってくる」

走攻守に積極的「将来的にはシーズンを通して20本は打てる」

 外野守備でも、試合を重ねるたびに好プレーを連発する。フェンスを恐れず果敢に打球を追い、ジャンピングキャッチの好捕を見せれば、強肩を生かし3つの補殺も記録。まだ粗削りな部分もあるが、打撃、守備、走塁とファンをワクワクさせる“華のある選手”になる可能性を秘めているという。

「優勝争いを続けるチームのなかで、3番を打つことは普通の新人ならプレッシャーを感じる。だが、そういった姿を見せないし、その状況を楽しんでいるように感じる。これを続けていけば、優勝チームの3番に定着する可能性もある」

 チームは2位・広島に8ゲーム差をつけ、貯金も今季最多の「24」と対抗馬は見つからない。歴史ある球団で優勝争いを繰り広げ、ドラ1ルーキーは最高の環境下でシーズンを過ごしている。新井氏は「これから経験を積み、打つべき球を打っていければ、将来的にはシーズンを通して20本塁打は打てる。攻守でファンをワクワクさせる選手で、中心選手になれる力を持っている」と、スター候補として注目している。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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