大きな穴開いても着用…「17」の番号入り WBCで侍斬り、エ軍左腕が愛用した“大谷ソックス”

エンゼルスのパトリック・サンドバル【写真:ロイター】
エンゼルスのパトリック・サンドバル【写真:ロイター】

サンドバルが登板日に着用する「17」入りの5本指ソックス

 活躍すれば大金が手に入るメジャーリーガーには常に最新の用具や洗濯されたユニホームがクラブハウスに用意されている。だからこそ、新鮮に映ったのかもしれない。試合前に準備するエンゼルスのパトリック・サンドバル投手が履いた靴下をよく見ると、いくつもの大きな穴が開いていた。

 6月29日(日本時間30日)の本拠地ホワイトソックス戦前のクラブハウス。先発登板予定だったサンドバルがユニホームに着替えていた。履いていた靴下をよく見ると、かかとに大きな穴が開いている。いつでも新品に替えられるはずなのになぜだろうか。聞こうかと思ったが、同日の登板で5回7失点。試合後はとても聞くことができる雰囲気ではなかった。

 それから、記者は日本に1か月ほど帰国したため、次にサンドバルの登板を見たのは7日(同8日)のジャイアンツ戦だった。その日、試合前に履いていた靴下は穴の開いていない新品のものだった。しかし、よく見ると、前回履いていたのと同じ、「17」とナンバリングされた5本指ソックスだった。

「その通りだ」。試合後、記者の問いに笑って頷いた。靴下はエンゼルス・大谷翔平投手から譲り受けたものだった。

7月以降は6登板で2勝2敗、防御率2.84とまずまずの成績を残す【写真:ロイター】
7月以降は6登板で2勝2敗、防御率2.84とまずまずの成績を残す【写真:ロイター】

日本代表を相手に好投したWBC準決勝でも「履いていたよ」

 きっかけは昨年8月のタンパでの遠征だった。7月は自身5連敗を喫し勢いに乗れなかったが、ふと大谷の履いている靴下を見ると、指が分かれているタイプだった。「彼が履いているのを見てね。彼に、『その靴下いいね』と伝えたら、(大谷が)何枚かくれたんだよ」。それ以降、自身も愛用し、同年は以降、6登板で2勝0敗、防御率2.41と好成績を残した。

 3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではメキシコ代表として出場。準決勝では野球日本代表「侍ジャパン」打線相手に4回1/3を無失点6奪三振と苦しめたのは記憶に新しい。大谷とも2打席対戦し、空振り三振、中直に仕留めた。その時も「履いていたよ」。靴下が好投を支えていた。

 ただ、複数枚もらっていたにもかかわらず、7月に着用していたものは大きな穴が開いていた。「(基本的に)すごく面倒くさがりだから、新しい靴下を卸さないんだ」。理由は単純だった。それでも7月以降は6登板で2勝2敗、防御率2.84とまずまずの成績。チームはプレーオフ進出が厳しい状況が続くが、“大谷靴下”で快投を続けたい。

著者プロフィール
○川村虎大(かわむら・こだい)1998年2月、茨城・土浦市出身。土浦一高から早大に進学。早大では軟式庭球部に所属するかたわら、ソフトテニス専門誌に寄稿。2021年からFull-Countに所属し、2023年は第5回WBCを取材。その後、エンゼルスを中心にMLBを取材している。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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