予測できた“事実上の戦力外” 大谷翔平の相棒、通告前日に喜んだライバルの一発

エンゼルスをDFAとなったチャド・ウォラック【写真:Getty Images】
エンゼルスをDFAとなったチャド・ウォラック【写真:Getty Images】

オハッピーの復帰に伴いエンゼルスをDFAになったウォラック

 エンゼルスは18日(日本時間19日)、チャド・ウォラック捕手をメジャー40人枠から外す措置をとった。有望株ローガン・オハッピー捕手の復帰に伴い、大谷翔平投手とバッテリーを組んだ相棒が“事実上の戦力外”。クラブハウスにはすでに「35」のロッカーはなくなっていた。

 ウォラックは今季、4月後半に長期離脱のオハッピーに代わってメジャー昇格。大谷と主にバッテリーを組み、7月29日(同30日)の敵地・タイガース戦では、大谷自身初の完封勝利をリードした。しかし、58試合に出場し、打率は.209、7本塁打、13打点。6月から7月にかけて38打席連続無安打などもあった。

 当初は今季絶望とみられていたオハッピーの術後経過が早く、7月後半くらいには、8月中の復帰の可能性を示唆する発言が首脳陣からたびたび出るようになった。誰かが戻ってくるには、その分、枠の必要がある。ロースターに入っている捕手はマット・サイスとウォラックの2人。どちらかが外れるのは目に見えていた。

 7月21日(同22日)の本拠地・パイレーツ戦ではサイスと大谷が初めてバッテリーを組んだ。怪我人が続出しているチーム状況の中で、打力に定評があり、一塁も守れるサイスがロースターに残るのは、記者だけでなく本人もおそらく感じ取っていただろう。それでもウォラックは常に笑顔でチームを鼓舞していた。

日本人記者の“大谷質問”にも笑顔で対応

 日本人の記者に対してもフレンドリーに接していた。大谷の情報が欲しい私たちは、ウォラックに聞きに行く。登板日には無安打でもメディアが集結する。自身が本塁打を打っても、大谷の投球についての質問のほうが多いこともあったが、いつも決して嫌な顔せず、大谷の投球をほめたたえるのが印象的だった。

 DFAになる直前の16日(同17日)、敵地・レンジャーズ戦。9回にサイスが8号ソロを放った。ポジション争いをするライバルの一発。にもかかわらず、ダグアウトで一番に待ち構えていた。背中をたたいて祝福し、満面の笑みだった。

 今年で31歳とベテランの域に差し掛かる。メジャー契約のチャンスをつかみ取るのは決して楽な道のりではないだろう。それでも、またバッテリーを組み、笑顔で大谷の投球を絶賛するウォラックの姿を見られる日を願ってやまない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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