ミス恐れぬチームカラー、練習環境… 燕にトレード加入・阪口皓亮が感じた“違い”

ヤクルト・阪口皓亮【写真:町田利衣】
ヤクルト・阪口皓亮【写真:町田利衣】

7月26日にDeNAからトレードが発表され、8月10日に昇格即新天地デビュー

 今季途中にDeNAからトレードで加入したヤクルトの阪口皓亮投手が、新たな道を歩み出した。7月26日にトレードが発表され、8月10日に1軍に初昇格すると、同日の広島戦に救援して1回1安打無失点デビュー。19日現在、3試合に登板し「だいぶ慣れましたよ。皆さん温かく迎えてくれますし、いい雰囲気でできています」と目尻を下げた。

 プロ6年目で初めて味わった移籍。もちろん、DeNA以外知らなかった阪口にとっては、新天地でこれまでと“違うこと”が多くある。チームに感じる雰囲気もその1つだ。

「みんなミスを恐れていない。僕より年下の野手もいますし、ミスをしたら落とされるみたいな恐怖心がないなと感じます。どんどんトライして、結果が出なくてもコーチの皆さんもそこでの改善点を見つけてくださる。コーチと選手のコミュニケーションがより密だなと感じました」

 環境面でも違いはある。通常、ホーム球団は観客入場前に練習を行うため、ファンに見られることはあまりない。しかしヤクルトは投手陣は「コブシ球場」と呼ばれる室内練習場に隣接した軟式グラウンドで練習を行う。行き交う人々が見ることができ、いつもファンの目がある。

 さらに練習を終えクラブハウスに戻る際には、多くのファンと触れ合う。時間が許せばサインを書き、写真撮影に応じる。これもDeNA時代にはなかなかなかったことだ。まだ移籍して日が浅く、慣れない部分もあるかと思いきや「僕は人とコミュニケーションを取るのが好きなので全然苦にならないです。より僕のことを知ってもらうためにはいい環境かなと思っています」と笑い飛ばした。

ヤクルト・阪口皓亮【写真:編集部】
ヤクルト・阪口皓亮【写真:編集部】

自他ともに認めるオリ山崎颯一郎似…「青山の主婦」でブレークへ?

 北海高から2017年ドラフト3位でDeNAに入団。2019年に1軍デビューして3試合に登板するも初勝利はつかめず、2021年に挙げた待望のプロ初勝利は、同年から就任した三浦大輔監督の監督初勝利にもなった。しかし、エース候補と期待されながら2022年はわずか1試合登板、そして今季は出番がないままトレードとなった。

「獲ってもらった球団なので、そこで結果を出したいなというのはありました。あとは皆さんとお別れするという……寂しさは大きかったですね」と本音も漏らす。それでも、阪口にとっては「求められて来たことですし、ましてや西浦さんという凄くいい選手とのトレード。いい評価をしていただいたんだと思っています」とプラスに受け止める機会となった。

 188センチの長身から投げ込む直球は威力があり、ポテンシャルは誰もが知るところ。しかしDeNAでは開花させることはできなかった。塩顔のイケメンは、オリックスで大ブレークした「吹田の主婦」こと山崎颯一郎投手似。阪口も「ハマの主婦」改め「青山の主婦」として、一気に人気を得る可能性を秘めている。

 ちなみに北海高時代、クラスメートから「皓亮、雑誌に載ってるじゃん!」と言われて見てみると、自分ではなく1学年上の山崎颯だったことがあったのだという。このときから自らも似ていると思っていたそうで、その後2018年にはU23代表でともに「第2回WBSC U-23ワールドカップ」を戦い、いまでは交流もある。

 阪口が常に口にするのは、女手一つで育ててくれた母への感謝。試合を欠かさずチェックしてくれており、2回無失点でプロ初ホールドを挙げた12日の阪神戦後には「ホンマに何回心臓が口から出たか」と言いつつ喜んでくれたのだという。「お母さんもやはり、(1軍で投げて)テレビで見られる方がうれしいと思う。それに1年でも長く選手でいることが大事。またここから頑張っていきたいと思います」。トレードを経験した24歳は、気持ち新たに右腕を振る。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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