歓喜の美酒から数日後… 吉田正尚が古巣指揮官から預かった“金言”の意味

レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】
レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】

吉田正尚へ、中嶋監督からの言葉「あのフレーズが頭に」

 レッドソックスの吉田正尚外野手には、胸に残る言葉がある。「青い空を見上げてみろ――」。オリックスを離れる際、中嶋聡監督から預かった“金言”だった。「結構、あのフレーズが頭に残っていて、試合前やイニング間に空を見上げながらストレッチをすることがあるんです」。見上げる空は、快晴が多いという。

 昨オフ、ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が決まった際、ともに悲願の日本一を成し遂げた指揮官へ挨拶に向かった。メジャーでのプレー経験こそないが、指導経験がある中嶋監督から「空は青いぞ。見上げてみろよ」と言葉をもらった。

 吉田は、その言葉を忘れない。「僕が勝手に解釈してるだけなんですけどね……」。メジャー挑戦1年目、苦笑いで指揮官からの“メッセージ”に気づいた。「世界は、これだけ広いんだから、小さくなるなよと。苦しい時でも空を見上げようと。上を向いてやっていこう! という解釈をしていますね」。言葉の真相は中嶋監督しか知らないが、吉田の解釈は間違いではなさそうだ。

 グラウンドに寝そべって、ふと日本を思い出す時がある。「あ?、空は青いな」。そう感じたタイミングで、昨季オリックスを日本一に導いた選手会長は“美酒”が脳裏をよぎる。ただ、思い出に浸るのは束の間。「これまで、本拠地がドーム球場で『楽をしていたな』と思う日もありますよ(笑)。こっちのスタジアムはどこも特徴があって、それぞれに対応しないといけない」。試合前には、念入りに芝の状態やフェンスの高さなどを確認する。

 7年間を過ごした京セラドームとは違い「風もあるし、声も聞き取りにくい。指示とか連携を取るのが難しいですね。フェンスの形が真っすぐじゃないから、クッションボールがいびつだとか。環境の違いはすごくあります」と研究を重ねる。

 21日(日本時間22日)の試合前時点で、吉田の打率は3割を切った。「同じ状況、同じボールは2度と来ない。チャンスボールを1球で仕留めないといけない」。今年だけで、打撃フォームも数回変更した。試行錯誤を繰り返す日々……。それでも、吉田は決して下を向かない。「空は繋がっているぞ、という意味もあるのかもしれませんもんね」。苦境に立たされても、思い出す言葉がある。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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