巨人は「流れを切るリリーフ陣が不在」 目立つ逆転負け…伏線となった“不用意な四球”

巨人・高梨雄平【写真:中戸川知世】
巨人・高梨雄平【写真:中戸川知世】

2点リードで迎えた8回に高梨が痛恨の逆転3ランを浴びる

■広島 5ー4 巨人(29日・京セラドーム)

 巨人は29日、京セラドームで行われた広島戦に4-5で逆転負けを喫した。2点リードの8回に左腕・高梨が痛恨の逆転3ランを浴び、3位・DeNAとのゲーム差は「1.5」。熾烈なAクラス争いを繰り広げるなか、野球評論家の坂口智隆氏は「大勢がいない中で完全に流れを切るリリーフ陣が不在」と、分析した。

 まさかの一発に球場は沈黙した。2点リードで迎えた8回。3番手・高梨が2つの四球で2死一、二塁のピンチを背負うと代打・末包に左翼席へ特大の逆転3ランを浴びた。6回にはベテラン・長野の一発、坂本の適時打などで一挙3点を奪い勝ちムードが漂っていたが、リリーフ陣が踏ん張り切れなかった。

 8回の逆転劇を坂口氏は「先頭の四球もそうだが、2死一塁から曾澤選手への四球も痛かった。高梨投手は左サイドながら右打者は得意にしている。結果論になってしまうが、2つ目の不用意な四球が勝負の分かれ目になった」と指摘した。

 高梨はこの試合まで49試合に登板し2勝0敗21ホールド、防御率3.38をマークしているが、対右打者の被打率は.146と相性は良かった。だが、下位打線の曾澤に対しストレートの四球で逆転の走者を与え、代打・末包には一番恐れていた一発を浴びてしまった。

巨人・原辰徳監督【写真:矢口亨】
巨人・原辰徳監督【写真:矢口亨】

打線はベテランの長野、坂本が奮起するも…

 巨人はこれで対広島戦は7勝15敗と大きく負け越し。シーズンも終盤に差し掛かり、Aクラス争いに向け一つの負けが許されない。さらに、この日はリーグトップの34本塁打、83打点をマークする4番・岡本、8月は打率.338と好調だった梶谷が「特例2023」で登録抹消され、苦しい状況が続いている。

 1番にベテラン・長野、代役4番には坂本を起用し11安打4得点と打線はある程度、機能している。やはり課題は投手力。6月30日に守護神の大勢がコンディション不良で抹消され、救援防御率3.88はリーグワーストを記録。序盤に勝ち越しても終盤に追いつかれ、逆転されるケースが目立っている。

 新助っ人の左腕・バルドナードが12試合で防御率0.93の成績を残しているが、勝ちパターンが決まっているとは言いづらい。この試合でも先発・山崎が6回7安打2失点(自責1)と踏ん張ったが、残り3イニングが固定できない状況だ。

「苦しい中継ぎ陣だからこそ、はっきりとした役割が見えていない。先発が7回を投げ切り、その中で勝ちパターンを奪い取る投手が出てこないと苦しくなってくる」と坂口氏。

 これで巨人は57勝57敗1分と貯金を掃き出し、3位・DeNAとのゲーム差は1.5。不安定なリリーフ陣、主砲を欠くチームは苦しい戦いが続く。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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