シアトルで感じる“イチローさん”の偉大さ 元オリ右腕が驚いたグッズショップの光景

マリナーズ球団会長付き特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏【写真:ロイター】
マリナーズ球団会長付き特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏【写真:ロイター】

米留学中の鈴木優さんが「T-モバイル・パーク」を訪れた

 オリックスと巨人で投手としてプレーし、昨季限りで現役を退いた鈴木優さんは現在、米国に約2年の予定で留学中だ。現地で感じた“ベースボール事情”を、不定期でレポート。第9回の今回は、マリナーズの本拠地、T-モバイル・パークを訪れた際の思いを語った。

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 この球場は今年のメジャーリーグのオールスターに使われたことで皆さんも記憶に新しいのではないだろうか。雨が多い地域ということと寒冷地ということもあり、前回訪れたチェイス・フィールドに次ぐ世界で2番目となる開閉式屋根付き天然芝の野球場で、屋根は3枚の大きな鋼鉄板でできているというのだから驚きだ。

 マリナーズはア・リーグ西地区に所属するチームで、シアトルはワシントン州に属している。調べてみて初めて知ったのだがマリナーズはMLBのチームで唯一、ワールドシリーズ進出を経験したことがないチームのようだ。30球団もあるとそのようなチームがあるのだなと、また日本の野球界との規模の差を感じる事実だった。

 日本人が思うマリナーズの印象といえばやはりイチロー選手(現マリナーズ球団会長付き特別補佐兼インストラクター)だ。イチローさんは私が在籍したオリックス・バファローズの先輩で、ドラフトで入団後の1月に行われた新入団選手の合同自主トレを神戸の寮でしている時、ほっともっとフィールド神戸で自主トレをしているイチローさんにみんなで挨拶に行ったことがあった。今考えると違うチームにいる先輩に挨拶に行くということは凄いことで、やはりレジェンドであるということを感じる出来事だった。

 その後、ある日の夜に寮の室内練習場で川崎宗則選手とイチローさんが練習していたところに、同期・同級生である宗佑磨と2人で参加させてもらったことも印象的な思い出だ。イチローさんの練習のストイックさや動きへのこだわり、細部に至るまでの考え方など、ポジションは違えど一緒に過ごさせていただく時間のなかでプロとしての大事なことを教わった。

今もショップにはイチロー氏のグッズが売られている【写真提供:PLM】
今もショップにはイチロー氏のグッズが売られている【写真提供:PLM】

2019年に引退も…今もショップには“イチローグッズ”

 イチローさんは2019年に引退をしたのだが、なんとシアトルの球場には現役選手と同じようにイチローさんの名前が入ったグッズが売っている。球場内を歩いていてもイチローさんのユニホームを着て歩いている現地の人をたくさん見かけた。日本では引退した選手のグッズを引退後も売っているという話を聞いたことはないので、イチローさんが素晴らしい成績を残したこと、シアトルの人から愛されているということがよくわかる光景だった。

 球場を歩いていて驚いたのは、レジなしコンビニエンスストアとして話題になった「Amazon Go」の仕組みが導入された売店「The Walk-Off Market」があちこちにあったことだ。さすがAmazonのお膝元シアトル。「The Walk-Off Market」はAmazonのテクノロジーを利用した店舗で、入口のゲートでクレジットカードを挿入するか、手のひら認識デバイス「Amazon One」を使って入店し、商品を選んだらレジに並ばず店を出ることができるのだ。
 
 試しに買ってみると「本当にこれで支払えているのか……」と不安になったが、数分後には領収書がメールに届いていた。会計の必要がない為、列に並ぶこともなく効率が良い。日本でも現在セルフレジなどが増えつつあるが、レジすら要らないこの仕組みの店舗を、なにかと並ぶことの多い日本の球場内にも導入すればより快適な観戦ができるのでは、と考えさせられた。

 そのほかに紹介したいスポットは、三塁側のエントランスから入るとある「ザ・ペン」と呼ばれる広場。地ビールやワイン、ピザなどの店が並ぶこの場所は、試合開始の2時間前から開いていて、グルメやお酒を楽しみながら練習中の選手やブルペンを間近で見ることが出来るのだ。

 また球場のネーミングライツである、アメリカで3番目のシェアを持つ携帯キャリア会社「T-mobile」が出している無料の充電ポートが球場の至る所に置いてあった。球場内は完全キャッシュレスで携帯は必需品なのでありがたいサービスだ。シアトルは気候も良く屋外で野球を見るには最高の環境。球場の近くにはスターバックス1号店やPike Place Fish Market、Amazonの本社などもあるのでぜひ訪れてみてほしい。

【実際の様子】感じる偉大さ…現役選手と同じようにイチロー氏のグッズなどが並ぶショップの光景

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