急遽決まった「個人指導」 丸田に“馬淵のメス”…二人三脚で飛び出した唯一のヒット

ベンチでアドバイスを送るU18日本代表・馬淵史郎監督(左)と丸田湊斗【写真:荒川祐史】
ベンチでアドバイスを送るU18日本代表・馬淵史郎監督(左)と丸田湊斗【写真:荒川祐史】

「慶応のプリンス」に“馬淵のメス”を入れた

 愛のムチが効いた。高校日本代表「侍ジャパン」は5日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」でオランダに0-1で惜敗。オープニングラウンドを4勝1敗で終え、大会規定によりグループBを2位で通過した。完封負けとなったが、馬淵史郎監督は「今後、期待しても良いかも分かりませんね。期待したい」と不敵な笑みを浮かべた。その理由は、チーム唯一の安打を放った丸田湊斗外野手(慶応)の存在だ。

「慶応のプリンス」に“馬淵のメス”を入れた。試合前時点で11打数1安打の打率.091だった丸田に、指揮官は「あんまり難しいことは考えず、レベル(スイング)で振れと言った。地面と平行にバットを振れと」とアドバイスを送った。

 その言葉に応えるように、丸田は1点を追う5回2死二塁から、ライトへチーム初安打を放った。同点かと思われたが、相手の右翼手が本塁へ好返球。二塁走者の中山優月投手(智弁学園)が三塁を回るも本塁憤死となり、オランダバッテリーの雄叫びだけがスタジアムに響いた。

 丸田は5回の同点機に「お前で勝負だぞ」と指揮官から告げられた。「ロースコアでヒットも出ていない中で(直近3試合)ヒットが出ていない中で、自分を信じて使ってくださった。なんとか1本、打たないとなという気持ちでした」。試合前には「1本出せよ」とゲキを飛ばされた丸田は、見事期待に応えてみせた。

 オープニングラウンド5試合で13打数2安打。打率は.154だが、きっかけは掴みつつある。「試合前に馬淵さんに個人指導してもらって、イメージが良い感じに。今、自分の良くなかったところが改善された」。曇っていた表情も少し晴れた。「ここで満足して、次以降打たないと全く意味がない。今まで迷惑をかけてきた分、スーパーラウンドで返したい」。爽やかな顔立ちでも、胸に秘めた闘志は熱い。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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