“ニセモノ”演じて完全試合 打者圧倒も「まだ脇役なので」…決戦で晴らす景色

プエルトリコ戦に先発した侍U-18代表・東恩納蒼【写真:荒川祐史】
プエルトリコ戦に先発した侍U-18代表・東恩納蒼【写真:荒川祐史】

東恩納蒼が5回参考記録ながら完全試合を達成

 高校日本代表「侍ジャパン」は8日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」でプエルトリコとのスーパーラウンド2戦目に臨み、10-0の5回コールド勝ち。東恩納蒼投手(沖縄尚学)が5回5奪三振で参考記録ながら完全試合を達成した。

 マウンドで躍動する自分は「ニセモノ」だった。日頃、ムードメーカーを務める東恩納は笑顔のシーンが多い。ただ、マウンドに上がると“別人”にチェンジ。「試合になったらスイッチを入れないと、投球にも影響するので。自分で変えている。ニセモノですね、(今の)これ。普段おちゃらけている方なのかな」。報道陣を含め、周囲を笑わせる能力に長けている。

 今大会3戦目の先発マウンド。自身のスイッチを入れるのは「(ウォーミング)アップの時かな」と表情を緩ませる。3回には3者連続三振を奪い「少しボールが浮いたら(バットに)当てられていた。(スライダーを)ワンバウンド投げるつもりで投げたら空振りしてくれたので、そのあたりは良かったです」と充実感を漂わせた。

 前日7日の韓国戦で、左腕の前田悠伍投手(大阪桐蔭)が4回1安打無失点と好投。仲間の投球を見守り「前田も良い投球を残したので、負けじと。自分も良い結果を残せたので、とても良かった。大一番の試合で、こういう結果を残せたというのは自分の中でもとても自信になりました」と胸を張った。

 謙虚に生きる。5回参考記録ながら、完全試合を達成しても「(内容は)70~80点くらい。まだ脇役なので」と謙遜する。前田が好投した韓国戦に続いてスーパーラウンド2連勝を決め、今大会の4位以上が確定。第3試合に予定されている台湾-オランダで台湾が勝利すれば2位以上となり、10日の決勝に進む。

 球数は53球だったため、10日の試合にも中1日で登板が可能。「また前田が良い投球をしてくれると思うので。(自分は)援護というか。投げるならしっかりと後を継いで良い投球をできたら」。侍U-18代表を背負う“左右の両輪”は、休養日の6日に台湾の観光スポット「台北101」に登った。東恩納は「曇っていたので、あまり綺麗じゃなかったです。結構ショックでした……」と苦笑い。自らの快投で、頂上からの景色を晴らせてみせる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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