元同僚も米メディアも脱帽「野球を愛している」 MVP確実も復帰意欲…大谷翔平の“献身”

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

元エンゼルスのリオン「僕ら選手全員がショウヘイの献身性を持つべきだ」

 エンゼルス・大谷翔平投手は15日(日本時間16日)から本拠地・タイガース3連戦に臨む。右脇腹痛で10試合連続欠場しているものの、フィル・ネビン監督は15日(同16日)が復帰戦となる可能性を示唆。レギュラーシーズンは残り15試合となったが、試合に出場しなくても周囲から驚きの声が上がっている。

 投手では右肘内側側副靱帯の損傷で離脱したものの、10勝5敗、防御率3.14、167奪三振。打者ではリーグトップの44本塁打を放ち、打率.304、95打点と好成績を残している。すでに2年ぶりのMVP受賞を確実視されている。

 4日(同5日)の本拠地・オリオールズ戦前の練習で右脇腹を痛めてから出場できていない。エンゼルスのポストシーズン進出は絶望的。今オフには6億ドルと言われる争奪戦が待っており、現地では「オオタニは今シーズンの残り試合を全て休んだ方がいい。なぜ故障を悪化させるリスクがあるのに試合に出たいのか」との声が一般的だ。それでも、大谷は試合復帰を目指している。この、ひたむきな姿勢に多くの関係者が感銘を受けている。

 大谷の凄さはたった1か月でも伝わる。こう語ってくれたのは8月1日(同2日)にメッツからエンゼルス入りし、同31日(同9月1日)にマリナーズへ移籍した中継ぎ右腕ドミニク・リオンだ。通算399登板を誇る31歳は、「本塁打を打つにしろ、マウンドから投げるにしろ、本当に素晴らしかった。見ていて本当に驚くしかなかった」と述懐。右肘内側側副靱帯を損傷し、右脇腹を痛めた後もプレー復帰を目指す精神力は、脱帽ものだという。

「精神的にもタフな選手だ。試合に対する献身性を示していることが分かるし、どれだけ試合に出たいかも伝わってくる。僕ら選手全員がそういったショウヘイの献身性を持つべきだよ」

MLB公式のボリンジャー記者「クレイジーだけど本当に野球を愛している」

 今オフにMVPやサイ・ヤング賞など各賞に投票する可能性のある米記者たちも同じだ。MLB公式サイトのエンゼルス番レット・ボリンジャー記者は「肘を怪我した時、手術して来年に備えるべきだと思った。プレーしなくてもMVPを獲得できるから」と大谷のMVP受賞を確信。その中で復帰を目指していることは驚きでしかないという。

「でもプレーすることを望み、肘の怪我は打撃に全く影響がないと考えている。成績を上げて、チームの勝利に貢献したいと考えているはずだ。プレーを望んでいることはクレイジーなことだけど、好きなこと、やりたいことを最後までやり遂げることは難しいことだ。本当に野球を愛している」

 10試合連続欠場となった13日(同14日)の敵地・マリナーズ戦後。大谷の表情に暗さはなく、むしろスッキリしているようにも見えた。例え圧倒的なパフォーマンスを見ることはできなくても、大谷の凄さはヒシヒシと伝わってくる。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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