日本の公立校へ編入…女子台湾代表の掲げる夢「打倒日本」 同級生から得た“力”

チャイニーズ・タイペイ代表のチウ・イーシュアン【写真:喜岡桜】
チャイニーズ・タイペイ代表のチウ・イーシュアン【写真:喜岡桜】

チャイニーズ・タイペイ代表のチウ・イーシュアンは、佐伯に通う高校3年生

 日本の公立校に通う女子高生が「打倒日本」に燃えている。広島県の三次きんさいスタジアムで開催中の、カーネクストpresents「第9回WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」。2018年にアメリカで行われた前回大会決勝で、侍ジャパン女子代表に0-6で敗れたチャイニーズタイペイは、16日の再戦に闘志をたぎらせている。佐伯(広島)に通うチウ・イーシュアン内野手(3年)もそのうちの1人だ。

 中学卒業後、一度は台湾の高校へ入学したが、中学まで続けたソフトボールクラブの監督と同校との縁がつながり、日本で硬式野球の腕を磨くことを決意。高校2年時に単身で来日した。

 漢字書きでの苗字「邱」にちなんで「キュウちゃん」の愛称で親しまれ、下宿先として自宅を提供している地域住人の家で、女子部員4人と共同生活を送っている。「公立校だから学費が安いし、やりたかった野球もできる。(生活スタイルは)台湾とそんなに変わらないので驚くこともありません」と、難なく日本での生活に馴染んでいるようだ。

 同校の女子硬式野球部は、2015年に創部。廿日市市の山あいに誕生した広島県初の女子硬式野球部として注目を集め、一時は他校に女子野球部ができたことで部員不足に陥ったこともあったが、チウが編入した昨夏、創部8年目でようやく春夏通して初の全国大会白星をつかむことができた。

留学生ながら文武において学内No.1レベル、侍ジャパンへ全力をぶつける

 日本で得た自信を胸に、今年2月に台湾の選考試合へ参加し、自身初の代表入り。5月のアジアカップも経験したが、「高校の試合とは違って国際大会なので、レベルが高くて緊張しています」と、まだ表情は硬い。だが、夏休み中の8月に参加した代表合宿期間中には、「日本のみんなから『頑張って』とメッセージをもらいました」と振り返る。台湾代表チームの中で最年少の彼女にとって、同世代の仲間からの応援は力になった。

 16日午後2時から行われる日本戦には、同校の女子野球部が応援に駆け付ける予定だ。今中幸作監督は「プレイヤーとしてもナンバーワンですし、勉強でもトップクラス」と最高級の評価を与え、W杯での活躍にも期待を寄せる。「アジア大会で日本に負けたんです。今回は悔いを残さないように全力頑張りたいです」と雪辱を果たし、チャイニーズ・タイペイ初のW杯制覇を目指す。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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