阪神優勝を呼び込んだ「6.9」 走攻守でNPBトップ級…近本光司の圧倒的貢献度

阪神・近本光司【写真:矢口亨】
阪神・近本光司【写真:矢口亨】

勝利貢献度WARはセ界断トツ1位の6.9をマーク

 18年ぶりの歓喜に、甲子園が酔いしれた。阪神は14日、甲子園球場で行われた巨人戦に4-3で勝利し、18年ぶり6度目となるリーグ優勝を決めた。全試合で4番を務めた大山悠輔内野手、防御率セ・リーグ1位の村上頌樹投手をはじめ、投打に“主役”が存在したが、不動の切り込み隊長・近本光司外野手の、走攻守にわたる貢献度もピカイチだった。(成績は14日終了時点)

 近本は悲願の胴上げまでに、115試合に出場し、打率.290、8本塁打、53打点、リーグ最多の26盗塁をマーク。1試合を除いて1番打者を任され、同4位の出塁率.384、最多の79得点を挙げた。優勝を決めた14日も、6回に中前打で出塁すると、最後は犠飛で先制のホームを踏み、その存在感を示した。

 もっとも、今季の近本は打撃3冠の獲得可能性は低く、一般的な数字では凄さが見えづらい面もある。しかし、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)が算出した、打撃や走塁、守備、投球を総合的に評価して貢献度を表すセイバーメトリクスの指標「WAR(Wins Above Replacement)」によると、近本は両リーグ1位タイの「6.9」をマーク。セ2位のDeNA・牧秀悟内野手(6.0)、同僚の大山(5.4)を大きく引き離している。

 さらに細かくデータを見ていくと、近本の“隙のなさ”が浮かび上がる。リーグ平均を100とした時、どれだけ攻撃で得点創出に貢献したかを示す「wRC+」は両リーグ11位の146。盗塁以外のベースランニングで得点貢献を示す「UBR」が同5位の5.0、さらに守備全般での貢献を示す「UZR」でも、中堅手1位&全ポジション9位の9.9を叩き出している。走攻守全般でプロ野球トップの数字を残していることが、データで裏付けられた格好だ。

 近本は7月2日の巨人戦で右わき腹に死球を受けると、4日に出場選手登録を抹消。離脱の影響か、好調だったチームは一転、5勝6敗と足踏みが続いた。しかし22日の復帰以降、チームは驚異の勝率.780と怒涛に勝ち続け、近本自身も打率.316と猛打を見せた。近本がまさに“勝利”に貢献し、リーグ優勝に不可欠なピースだった。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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