坂本勇人の“代役”が奪った聖域 新人離れの22歳…12球団イチの異次元数値「21.7」
巨人のドラ4・門脇誠、守備全般での貢献を示す「UZR」で高い値を記録
広い守備範囲と強肩を兼ね備えて、グラウンドを駆け回る遊撃手は内野の華だ。巨人では長い間、坂本勇人内野手がショートストップを担っていたが、ここにきて急速に世代交代が進んでいる。創価大からドラフト4位で入団した門脇誠内野手の台頭だ。高い守備力でシーズン序盤から様々な位置を守ってきたが、シーズン終盤に遊撃手としての存在感を高めてきた。(数字は16日終了時)
2008年のレギュラー獲得から15年にわたり巨人のショートを守ってきた坂本は、7日のヤクルト戦(神宮)でプロ入り初めて三塁で先発した。この試合から、ショートのスタメンに名を連ねるのが門脇だ。開幕当初から一塁以外の内野を守り、スタメンに守備固めと存在感を見せてきたが、夏場以降は遊撃での出場が増えてきている。
攻撃面でも打率.258、10盗塁を記録しているが、最大の持ち味は守備力。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータで、守備全般での貢献を示す指標「UZR(Ultimate Zone Rating)」は、両リーグで300イニング以上を守った遊撃手の中で4位の「7.1」を記録している。これは守備の名手である西武・源田壮亮内野手の「5.7」も上回る高い数値となっている。
さらに驚くべきは、1000イニング以上を守ったと仮定した「UZR1000」では2位の楽天・村林一輝内野手(17.1)を上回る「21.7」、同1200イニングの「UZR1200」では、村林の「20.6」を大きく超える「26.1」で、12球団トップの指標を記録している。2022年シーズンの「UZR1200」の全体トップは源田の「18.0」だったことから、門脇の数字の異質さが際立つ。
多くの球団で遊撃手の育成・獲得は、チーム編成の課題の一つになることが多いが、巨人は門脇の台頭で一気に解決したといえる。チームの核である坂本を、守備の負担の大きい遊撃から三塁にコンバートできたことも、これから数年の戦いを見据える上で大きな転換期といえる。逆転CS進出に向けて、負けられない戦いが続くが、門脇に遊撃を任せられるメドが立ち、二塁の吉川尚輝内野手と“鉄壁の二遊間”を組めた点は明るい材料だ。残り試合は少ないが、守備に強みを得た名門球団の反攻に期待したい。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。