広島ドラ1が劇的変化「はっきり言って想像以上」 首脳陣も唸る“火の玉直球”の片鱗

広島・斉藤優汰【写真:真田一平】
広島・斉藤優汰【写真:真田一平】

ドラフト1位・斉藤が見せた大器の片鱗、先発で2試合続けて好投

 高卒1年目、まだあどけなさの残る19歳が覚醒の兆しを見せている。北海道・苫小牧中央高出身の広島・斉藤優汰投手。素材の高さを評価されドラフト1位で入団した189センチの大型右腕が、夏場以降、首脳陣も驚くスピードで飛躍を遂げつつある。

 8月24日、本拠地・由宇で行われたウエスタン・リーグのソフトバンク戦。公式戦初先発のマウンドに上がった斉藤は5回を投げて無失点。相手打線を1安打に抑える快投を見せると、9月2日のソフトバンク戦でも7回2失点。いずれの試合もストレートは最速152キロを記録し、敵将の小久保裕紀2軍監督も舌を巻く投球を見せた。

 ただ、開幕から約5か月、斉藤は“停滞”を続けていた。2軍戦初登板となった5月24日のオリックス戦、6月10日のオリックス戦はともに1回2失点。その後、約2か月間登板はなく、再びマウンドに上がった8月8日の中日戦では5四球を与え1回2/3で降板。それだけに、2試合続けての好結果は首脳陣にとっても予期せぬ出来事だった。

 入団以降、斉藤を見守る小林幹英3軍投手育成強化コーチは「はっきり言って想像以上。斉藤の球が通用することは分かりましたが、1年目からここまでの結果を出すとは思っていませんでした」と明かした。「投げる球は入団からずっと良いです。特にストレートは抜群に良い」と話すようにポテンシャルは高かった。好投の要因を探すと、それまでの3試合と比べて“球数”に大きな違いがあった。

成長の兆しを見せた精度、目標は藤川球児氏のようなストレート

 先発した2試合は5回を68球、7回を88球で投げきっている。5四球を与えた中日戦は1回2/3で48球を投げているので、その違いは明白だ。「投げたいコースに投げきれるかどうかの精度が課題でした。10球に1球だったのが、今は10球に6球くらいは思った所に投げられている。その確率が上がったのが、好投につながった要因の1つではないかと思います」と小林コーチは振り返る。

 斉藤自身も「先発した2試合はボールと分かる球が少なかったです。あと、ストレートでファウルを取れる確率が増えたこともプラスに捉えています」と手応えを口にする。「僕の投球の組み立てはストレートあってのもの」と話すように、持ち味の力強い球をコースに投げきれるようになったことは大きな成長の証といえる。

 続いている好結果に、今季中の1軍登板もと期待したくなるところだが、小林コーチはその先を見据えている。「今は基礎を1つ1つ習得している最中。その過程の中で試合で投げているだけなので結果に一喜一憂してほしくはありません。ただ、コツコツ続けてきたことに“答え”が見え始めているので、斉藤にはこのまま継続してやっていこうと話しています」。

 上体の強さを活かして投げ込む球の力は一級品。今後、効率の良い投げ方を身につけ、体も成長していけば、持ち味のストレートはさらなる進化を遂げるはずだ。まだ高卒1年目の19歳。「藤川球児さん(元阪神)や中里篤史さん(元中日・巨人)のようなストレートを投げられるようになりたい」と話す斉藤の歩んでいく道が、広島の未来を照らしていく。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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