前年1勝→15勝…DeNA左腕の躍進を支える「39.6」 山本由伸超えの衝撃数値

DeNA・東克樹【写真:矢口亨】
DeNA・東克樹【写真:矢口亨】

DeNA東はTJ手術から復帰も昨年は1勝…今季は15勝、防御率2.13をマーク

 今季のプロ野球も大詰め。セ・パ両リーグで優勝が決定し、注目はクライマックスシリーズ(CS)と個人タイトル争いに移っている。セの最多勝は15勝を挙げているDeNAの6年目左腕・東克樹投手で確定的。昨年の1勝から一気に飛躍した背景には無双と化した2種類の変化球と圧倒的な制球力がある。(記録は21日時点)

 立命大から2017年ドラフト1位で入団した東は、1年目の2018年に11勝を挙げて新人王に輝いた。2020年2月に左肘のトミー・ジョン手術を受け2021年に復帰も、開幕投手を務めた昨年は1勝どまり。しかし今季はここまで22登板で15勝2敗、防御率2.13と圧倒的な成績を残し、初の最多勝を確実にしている。

 大躍進に結びついた要因の一つは制球力だろう。与四球「14」は規定投球回に達した投手の中で最少。セイバーメトリクスの観点から分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、「与四球割合(BB%)」は2.3%でトップ。昨季シーズン最少与四球記録「11」をマークした日本ハム・加藤貴之投手の今季数値(16与四球、2.5%)を上回る。

 宝刀チェンジアップに凄みが増したのも大きい。チェンジアップによる失点増減の合計を示す指標の「wCH」は8.2で断トツ。2位・加藤貴の3.9に大差をつけている。また、スライダーによる失点増減の合計「wSL」もオリックス・宮城大弥の11.9に次ぐ10.6。リーグ1位の数字だ。

 さらに特筆すべきは打者にスイングさせた割合。ストライクゾーンの外(outside)の投球に対し、対戦打者がスイングしたケースの割合「O-Swing%」は39.6%でトップ。2位のオリックス・山本由伸の36.9%を上回る。チェンジアップやスライダーなどを、ストライクゾーンからボールゾーンにしっかりコントロールしていたことが分かる。

 手術からの雌伏の時を経て、大きな進化を遂げた27歳。シーズンは残り少ないが、どんな投球を見せてくれるだろうか。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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