オリ中嶋監督、初日に敢行した“大改革” 元スタッフが語る「投手王国」誕生の瞬間

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

昨季まで13年間オリックスに在籍し「基本的に先発投手や9回の投手を受けた」

 オリックスが20日、パ・リーグ優勝を決めた。3連覇の偉業を成し遂げた“古巣”に「やっぱり悔しいですけどね。先発もすごかったし、中継ぎもみんな三振が取れましたね」と話すのが、ソフトバンクの瓜野純嗣ブルペン捕手だ。昨季までの13年間、オリックスのブルペン捕手として投手の球を受け続けた。2021年に中嶋聡監督が就任して最初に行った“改革”について話を聞いた。

 福岡県で生まれ育った瓜野ブルペン捕手。2010年からオリックスに入団し「一応ブルペンをメインにやっていて。基本的に先発投手や7回、8回、9回の投手は僕が捕っていました」と当時を振り返る。年間を通して、何万球と投手の球を受ける職業。昨季まで2年間、ともに過ごした能見篤史さんからも「1度、記事に『瓜野がすごいことに気がつく』って話してくださった」と評価された。投手の活躍をともに喜べるのがこの仕事のやりがいだ。

 3連覇に導いた中嶋聡監督は、2020年のシーズン途中から監督代行を務め、2021年から頂点に立ち続けている。投手の運用における最初の“改革”は就任初年度の春季キャンプ、試合がない日の投手練習を廃止したことだった。瓜野ブルペン捕手は「中嶋さんが監督になって、キャンプ中に投手陣を集めて『今年からP練なくすから』って一言でなくなりました」と、当時の状況を明かす。

遠征先でキャッチボールは「ホテルの前の公園で」

 とはいえ、投げないと不安な投手も必ずいる。指揮官が廃止としたのは、あくまでも全体として動く練習のこと。瓜野ブルペン捕手も「(練習したい投手がいれば)『行くよ』って言って、けっこう球場に行ったりはしていました」と話す。本拠地の京セラドームに限らず、遠征先でも「移動してホテルの前の公園で、山岡(泰輔)とか福也(山崎)とかとみんなでキャッチボールしたりして」と、その表情は懐かしそうだ。

「楽しかったですけどね、ユニホームも着なくてよかったですし。『やりたい人は自分でやれ』『休みは休み』っていう。それがいいのか、悪いのかはわからないですけど。選手が活躍するために、どっちがいいんだろうなって。選手に任せて『ピッチングしたいやつは自分で動け』っていうスタイルでした」

 オリックスのチーム防御率2.63はリーグトップ。7月の防御率3.32は月別ではワーストだったが、8月には1.93と“盛り返し”を見せた。年間を通して安定した働きを見せた投手陣。中嶋監督なりの“改革”が、3連覇にもつながっていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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