CS狙う巨人は「最善を尽くせたか?」 専門家が指摘するベンチの動きと継投策

7回途中で降板した巨人・菅野智之【写真:中戸川知世】
7回途中で降板した巨人・菅野智之【写真:中戸川知世】

先発の菅野は2被弾を含む7回途中7安打4失点で8敗目

■広島 7ー3 巨人(23日・東京ドーム)

 巨人が痛恨の1敗でクライマックスシリーズ(CS)進出に向け、黄色信号が灯った。23日、東京ドームで行われた広島戦に3-7で敗戦。先発・菅野が7回途中4失点で8敗目を喫するなど、投手陣が踏ん張り切れず。野球評論家の新井宏昌氏は「1試合も負けられない状況。7回のベンチの動きは疑問が残った」と分析した。

 一時は逆転するも一発攻勢に泣いた。同点で迎えた7回、先発の菅野が先頭・末包に左翼席へ勝ち越しソロを浴び降板。2番手でマウンドに上がった船迫が2死から中村貴に右翼線二塁打を許すと、続く秋山には右翼席へ2ランを浴び試合は決まった。

 打線は広島・森下から4四球を奪い、7安打3得点と粘りは見せた。経験豊富なベテラン・菅野が要所を抑えきれず痛恨の敗戦に、新井氏は「末包に浴びた一発は球種、コース的にも悪くない。ただ、全盛期の球威はなかった。本来なら詰まらせて三ゴロを取るイメージ。本人が一番、『まさか』と感じているのではないでしょうか」と指摘。

 痛恨の一発を浴びたが、点差はまだ1点。試合終盤で次の1点をどちらが取るかが、鍵を握る状況。新井氏は「DeNAと4試合を残す状況で、この日は絶対に負けられない1戦。ベンチとしては最善を尽くせたか。7回は少し疑問が残った」と、勝ち越しソロを浴びた後に注目した。

1点を勝ち越された7回は2番手・船迫が秋山にダメ押しの2ランを浴びる

 新井氏が指摘したのは7回2死から船迫が中村貴に二塁打を浴びた場面。続く打者は昇格しスタメン復帰した秋山。リリーフには高梨を含め4人の左腕が残っていたがベンチは続投を決断した。船迫はこの試合まで12試合連続無失点と獅子奮迅の活躍を見せていただけに「託すことに問題はない。ただ、間を空けることなく、すんなりと勝負したように感じます」。

 もう1点も許せない状況。ベンチが動く様子はなく、結果的に秋山には試合を決定づける2ランを浴びた。「結果を残しているが新人。投手コーチがマウンドに向かって一呼吸あってもいい場面だった。まだ勝負できるので、一人一殺で左投手をつぎ込んでもいい。打たれた後に(2死一塁から)高梨を投入したのも一手遅く感じました」と新井氏。

 チームは貯金をはき出し、シーズンは残り7試合。「苦しい状況に変わりはない。もう、1敗すれば限りなく可能性は低くなる。なりふり構わず1試合を戦うことが求められる」。3位・DeNAが敗れたため自力CSの可能性は残った。24日から始まる敵地での直接対決に全てをかけるしかない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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