見逃し三振も「あれでいい」 HRキング・万波を1番起用するワケ…滲む新庄監督の“親心”

日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】
日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】

初回先頭で浅村&ポランコに並ぶリーグトップの25号ソロを放った

■日本ハム 7ー0 ロッテ(26日・エスコンフィールド)

 日本ハムの万波中正外野手が26日、エスコンフィールドで行われたロッテ戦でリーグトップに並ぶ25号ソロを放った。トップを走る楽天・浅村、ロッテ・ポランコに並び、自身初タイトルもハッキリと視界に捉えた。新庄監督が「本当に(本塁打王を)獲らせたい」と願うのには、大きな理由があった。

 試合後、指揮官は開口一番「よっしゃー、万波くん25! めっちゃうれしい」と目尻を下げた。初回無死、美馬のカットボールを逆方向へライナーで運ぶ衝撃の一発。「あれができたら87本くらいいく。バリー・ボンズ抜いちゃう。“右に引っ張る”から」と興奮は冷めなかった。

 9月3日以降、打席が多く回る1番に据えて“バックアップ”している新庄監督。タイトルを獲らせたいと言い切るワケを「何でかというと、自信になる。タイトルじゃなくて、万波くんにそういう賞を獲れたという自信をつけさせたいのが一番」と説明する。

「これからも、本塁打王のタイトルというのは彼なら毎年いけるだろう」というものの、レギュラーとして1年間戦う初めてのシーズンだからこそ、獲得できれば喜びもひとしおのはずだ。「こうやって初の1軍レギュラーを獲るというのは今年しかないから。凄くうれしいんですよ。怪我なくね。実力のない選手は怪我をしてタイトルとか逃してしまう。万波くんは体が強いから。それもプロとして大事なことなので」と称えるからこそ“親心”がのぞく。

 8回の第5打席は見逃し三振に倒れたが「最後の三振はいい。俺の勘では、変化球を逆方向に持っていこうという気持ちで真っ直ぐが来て。あれでいいんじゃないかなと思いました」と凡退しても内容の良さが際立つからこそ、期待せずにはいられない。

 日本ハムは残り6試合。楽天が9試合、ロッテが10試合と、ライバルたちに比べてかなり少ない。「うち少ないんだよね……。俺の予想では27本で、誰か分からないけど本塁打王になる気がしているんだよね」と“勘ピューター”を働かせた新庄監督。多くの人の夢を乗せ、覚醒した23歳はどれだけアーチを描けるだろうか。

(町田利衣 / Rie Machida)

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