吉田正尚に「息抜きを」…海を越えた“思いやり” 古巣先輩が届けたサプライズの意味

レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】
レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】

オリックス・杉本裕太郎が、レッドソックス・吉田正尚にサプライズ敢行

 海の向こうから聞こえる笑い声を、楽しみに待っていた。オリックスのラオウこと杉本裕太郎外野手は7月上旬、ふと思わずサプライズを計画した。「正尚、元気かな? と。そろそろホームシックになっていそうだなと思ったので企画してみました」。レッドソックスで奮闘する吉田正尚外野手に「バースデームービー」を内緒で届けた。

 7月15日の夜、米国・シカゴでのカブス戦を終えた吉田は帰路に就くと、両手サイズのパソコンを手渡された。パカっと開いて画面を見つめると、かつての仲間たちが次々と笑顔で登場する。「正尚、誕生日おめでとう!」。30歳の誕生日に届いた、まさかのサプライズに思わずニヤリとした。

 すぐさま吉田は「これ、誰が撮ったんですか?」と質問を投げかけたが、答えは3分後にわかった。気になる“企画者”は、ムービーの最後に登場した杉本で「あ、裕太郎さんか。本当にありがたいですね……」と、上げていた口角を元に戻して喜んだ。

 裏方スタッフらも登場するムービーに参戦したのは総勢21人。青学大時代から一緒にプレーした、2学年上の先輩・杉本が全員を撮影したオリジナルムービーだった。気遣いのうまい杉本は「みんなノリノリでメッセージをくれました。ああいう企画は、僕たちも面白いですし、正尚にも息抜きを……と。少しでも笑ってくれたらいいなと思ってました」と、強く親指を上げた。

オリックス・杉本裕太郎【写真:小林靖】
オリックス・杉本裕太郎【写真:小林靖】

サプライズムービーの“お返し”を心待ちに

 かつての同僚が届けてくれたメッセージ効果もあり? 吉田は1日(日本時間2日)に今季の全日程を終えた。140試合に出場し、打率.289、15本塁打、72打点の成績を残し、シーズンを完走。春先にはWBCにも出場し、世界一にも貢献。メジャー挑戦1年目は“激動”の年だったが、なんとか乗り越えた。

 近々、日本に帰国する予定で、杉本は“再会”を心待ちにする。メジャーで躍動した後輩にお願いしたいことがあるそうで「いっぱいお金を稼いでる選手だと思うので、めちゃくちゃ高価なお寿司に連れていってほしいです」とジョークを炸裂させる。

 オリックス時代に食事した際のお会計は「基本、僕でしたね。僕と(福田)周平でした」と顔をほころばせる。今秋、サプライズムービーの“お返し”があるのか、1つ楽しみが増えた。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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