戦力外は「ああ、きたか」 現役こだわり…DeNA左腕の胸中「火を消すのはもったいない」

DeNAを戦力外となった田中健二朗【写真:町田利衣】
DeNAを戦力外となった田中健二朗【写真:町田利衣】

DeNA田中健二朗「年齢も年齢だし、いつか来ることだから…」

 DeNAは3日、田中健二朗投手ら10選手に、2024年シーズンの契約を結ばないことを通知したと発表した。16年間で274試合に登板。TBSが親会社だった時代(2002年〜2011年)にプレーした現役選手で、生え抜きでは“最後の1人”だった田中健が、今の思いを明かした。

「年齢も年齢だし、いつか来ることだから、遅かれ早かれあるので、別に『ああ、来たか』って感じでした」

 田中健は淡々と“その時”を振り返る。2007年高校生ドラフト1巡目で横浜に入団してから、16年間のベイスターズ生活。球団側からは、仮に現役を辞める場合は引退試合を用意することも告げられていた。しかし「まだできるって自分では思っているので、そうやって思っているうちは火を消すのはもったいないと思った」と現役続行に迷いはなかった。

 3年目だった2010年にプロ初勝利をマーク。2016年からは2年連続60試合以上登板を成し遂げ、球団初のクライマックスシリーズ進出に貢献、日本シリーズにも出場した。左肘のトミー・ジョン手術を受けた影響で2019年オフに育成契約となり、2021年に支配下復帰。数えきれないほどの思い出を「初めてベイスターズでプロ初勝利を挙げられた時は、本当に随分前の話なんですけど、つい最近のような感じがしますし、あとは初めてクライマックスに出たときも凄く印象に残っています」と振り返った。

 スタンドがガラガラだった時代も知る左腕は「あの時はあの時で、今は今。それぞれ良かったことはあるので。でも、今はたくさんのお客さんが入っている中でやれるので、本当にいい時代だなと思います」とハマスタの大観衆を思い浮かべた。

 生え抜きの“旧横浜戦士”最後の1人は、静かにベイスターズのユニホームを脱ぐ。“ラスト登板”となった1日のイースタン・リーグ、ロッテ戦は、万雷の拍手の中で9回の1イニングを3者凡退2奪三振と意地を見せた。「みんな覚えていてくれてよかったです」と恥ずかしそうに笑うと、すぐに表情を引き締め言った。「心も体も何も問題ないです。元気です」。34歳は、次の道を歩みだす。

(町田利衣 / Rie Machida)

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