心が折れたら「野球人生は終わり」 “10度目の正直”で乗り越えたドラ1の重圧

ソフトバンク戦に先発したオリックス・曽谷龍平【画像:パーソル パ・リーグTV】
ソフトバンク戦に先発したオリックス・曽谷龍平【画像:パーソル パ・リーグTV】

ドラフト1位の曽谷龍平投手が6回1安打無失点の好投で待望のプロ初勝利

■オリックス 4ー1 ソフトバンク(9日・京セラドーム)

 オリックスは9日、本拠地・京セラドームで行われたソフトバンク戦に4-1で勝利した。ドラフト1位の曽谷龍平投手が6回1安打無失点の好投で待望のプロ初勝利をマーク。“10度目の正直”で手にした白星を心から喜んだのは中嶋聡監督だった。

 ドラ1左腕が、覚悟を決めた最終戦に挑んだ。初回は先頭の周東から2者連続三振を奪うなど完璧な立ち上がり。4回1死から柳田に中前打を浴びるまで無安打投球を続けるなどホークス打線を封じた。勝利投手の権利がかかった5回も中村晃を二ゴロ、柳町を見逃し三振、井上を三ゴロに抑える堂々たる投球だった。

「前の登板でズルズルいっていたが、切り替えていけたことが良かった。1年目、苦しいこともあり、上手くいかないことあったが、最後に勝てた事が良かった」

 この試合までリリーフを含め9試合に登板し0勝2敗。イニング別失点では初回に5点、4回に9点と課題は明確だった。立ち上がりは良くても中盤に突如制球を乱し、白星から遠ざかる悪癖。だが、この日は鬼門を乗り越え“10度目の正直”で待望の白星をマークした。

 リーグ連覇、日本一を達成したチームから栄光のドラフト1位指名を受け入団。山本由伸ら強力投手陣が揃う先発陣に割り込むのは容易ではなかった。「正直、プレッシャーしかなかった。期待に応えないといけない。自分のなかでレッテル貼ってしまっていたところがあったので」。ポテンシャルを発揮できない自分自身に苛立ちを覚えたこともあった。

 結果がでない状況でも信念は曲げなかった。心が折れそうになったこともあったというが「そうなったら野球人生は終わり」と気持ちを奮い立たせた。「折れない心と継続力。周りに流されない」。自身のルーティンを崩すことなく登板日に備えた。

 初勝利に中嶋監督も一安心だった。「いやぁ良かったですね。本当に良かったです。こっちがホッとしましたね。今まで投げていてプレッシャーがかかっていたんだろうと思いますが、それを抜きにして投げてくれると思って出しましたので。うん、良かった。ナイスピッチ」。普段は口数少ない指揮官が最大級の賛辞を送った。

 最後の最後で結果を残した左腕は「また、CSでチャンスが回ってきたら。何かを変えるんじゃなく今まで通り、準備していきたい」と、次なるステージを見据えていた。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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