広島、躍進を支えた投手陣の世代交代 的確な育成戦略…黄金期予感の“5か年計画”

広島・島内颯太郎、床田寛樹、栗林良吏(左から)【写真:荒川祐史、小林靖】
広島・島内颯太郎、床田寛樹、栗林良吏(左から)【写真:荒川祐史、小林靖】

2018年のリーグ3連覇を支えた投手陣から新陳代謝が急激に進んだ

 広島はクライマックスシリーズのファーストステージを2連勝で勝ち上がり、18日からの阪神とのファイナルステージに挑む。2016年から2018年のリーグ3連覇以降は、投打がかみ合わず4年連続でBクラスに沈んでいたが、今季就任した新井貴浩監督のもと、2位に躍進した。その大きな要因として、ここ数年でメンバーがガラッと変わった投手陣の奮闘が挙げられる。

 セ・リーグ3連覇を果たした2018年の投手陣を振り返ると、先発陣は大瀬良大地投手が15勝、クリス・ジョンソン投手が11勝、岡田明丈投手と九里亜蓮投手が8勝、野村祐輔投手が7勝だった。リリーフ陣は中崎翔太投手が68試合で32セーブ、一岡竜司投手が59試合、アドゥワ誠投手が53試合、ジェイ・ジャクソン投手が48試合、ヘロニモ・フランスア投手が47試合、今村猛投手が43試合とチームを支えた。

 翌2019年の先発陣は、大瀬良とジョンソンが2桁勝利を達成。九里と野村も前年並みの働きを見せるも、岡田は0勝に終わった。ジャクソンが退団した救援陣は、フランスアこそ67試合と大車輪の活躍も、抑えの中崎が36試合で12セーブにとどまると、一岡は33試合、今村も27試合と登板を減らした。この年を境にリリーフ陣は過渡期を迎えることになる。

 2019年はリーグ2位(3.68)だったチーム防御率は、翌2020年には同5位(4.06)となり、2022年まで3年連続で5位と浮上のきっかけを掴めなかった。2020年オフには長く先発を務めたジョンソンが退団、2021年には今村が引退、2022年オフにはフランスアが退団し、3連覇を成し遂げた際の主力投手の多くがチームを去った。

 そんな中、今季は球団の的確な補強と育成が実を結んだ1年だった。2020年ドラフト1位の栗林良吏投手は、ルーキーイヤーから守護神に君臨。途中離脱もあった今季は、配置転換もありながら55試合に登板した。同3位の大道温貴投手も3年目で大ブレークを果たし、48試合に登板してブルペンを支えた。

 さらには、2018年ドラフト2位の島内颯太郎投手は最優秀中継ぎに輝いた。栗林不在時に代役を務めた矢崎拓也投手は、2016年の1位で入団。チームトップの11勝を挙げた床田寛樹投手も、2016年のドラフト組だ。リーグ連覇時に獲得した選手が大成したことも、チーム力を高める結果となった。

“栄光の3連覇”から早5年。世代交代を成し遂げて、10月の舞台に帰ってきた広島が、挑戦者として阪神との決戦を迎える。圧倒的アウェーが予想される聖地・甲子園での戦いの先に、5年前に成しえなかった日本一の悲願が待っている。

(Full-Count編集部)

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