カギは虎の大砲、想定される「プランB」 多彩な井端ジャパン…専門家がスタメン予想

中日・岡林勇希、阪神・森下翔太、日本ハム・万波中正(左から)【写真:矢口亨】
中日・岡林勇希、阪神・森下翔太、日本ハム・万波中正(左から)【写真:矢口亨】

11月に行われるアジアプロ野球チャンピオンシップへ向け26選手を発表した

 侍ジャパンの井端弘和監督は24日、11月に東京ドームで行われる「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」に出場する26選手を発表した。今春のWBCで世界一に導いた栗山英樹前監督から指揮官の座を受け継ぎ“初陣”を迎える井端監督は、DeNAの牧秀悟内野手を4番に据えることを明言したが、その他のオーダーはどう組むのだろうか。専門家がスタメンを予想した。

 アジアチャンピオンシップには日本、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイ、韓国の4チームが参加。出場資格は基本的に24歳以下(1999年1月1日以降)または入団3年目以内の選手に限られるが、3人まで認められているオーバーエイジ枠としてヤクルト守護神の田口麗斗投手、西武の今井達也投手、広島の坂倉将吾捕手が選出された。

 井端監督は牧を4番に指名した理由を、「(DeNAで今季)全試合4番を務めましたし、彼を1年間見てきて、調子がいい時も悪い時も(立ち居振る舞いが)全く変わらないのが一番素晴らしいところと感じました。チームも落ち着くと思います」と説明した。

 一方、井端監督自身が現役時代に多く務めた「2番」のスポットについては、「WBCの時に務めた近藤(健介)選手(ソフトバンク)のように、粘れて、つなぎもできる選手なら、首脳陣としては何もサインを出す必要がなく、理想的です。そういう選手がいなければ、長打を求めるのか、小技を利かすのか、合宿などで見極めてオーダーを組みたいと思います」と語った。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として21年間活躍した野球評論家の野口寿浩氏も、「2番」の人選がキーポイントと見る。あれこれ検討した結果、最も適任と白羽の矢を立てたのが、中日の岡林勇希外野手だ。

 野口氏は「2番は小技が利き、左打者で右方向へ引っ張れるのが理想」とした上で、「岡林はその条件に当てはまり、エンドランや進塁打を器用にこなせる上、もし相手投手が右方向へ打たせまいとして外角攻めをしてくれば、ポンと左前へ運べる技術もある」と称賛。昨季161安打で最多安打のタイトルを獲得し、今季もリーグトップにわずか1差の163安打を量産した岡林の技術の高さは実証済みである。

野球評論家の野口寿浩氏【写真:荒川祐史】
野球評論家の野口寿浩氏【写真:荒川祐史】

阪神の佐藤輝明は「高めの速い球と低めの落ちる球」にどう対処するか?

 野口氏が選んだベストスタメンは以下の通り。

1(右)万波中正(日本ハム)
2(中)岡林勇希(中日)
3(捕)坂倉将吾(広島)
4(指)牧秀悟(DeNA)
5(三)佐藤輝明(阪神)
6(左)森下翔太(阪神)
7(遊)紅林弘太郎(オリックス)
8(一)秋広優人(巨人)
9(二)小園海斗(広島)

 1番に万波を置けば、足も速いが、それ以上に今季25本塁打を放った長打力で、いきなり相手に重圧をかけることができる。攻撃的なオーダーと言える。クライマックスシリーズ(CS)5試合で18打数7安打(.389)と打ちまくった広島の小園海斗内野手は、本職は遊撃だが、二塁手としても今季11試合、三塁手としても4試合に先発しており、問題はないだろう。

 阪神の森下翔太外野手は基本的に右翼を守ってきたが、ここでは驚異的な強肩を誇る万波に譲り、左翼に置く。野口氏は「ロッテ・藤原(恭大外野手)、内野手登録のオリックス・野口(智哉)を含め、特に外野にいい選手がそろった」と目を細める。

 多彩なオーダーを組むことが可能な顔ぶれとあって、野口氏は「プランB」も示す。

1(中)岡林勇希(中日)
2(三)小園海斗(広島)
3(左)森下翔太(阪神)
4(二)牧秀悟(DeNA)
5(指)坂倉将吾(広島)
6(右)万波中正(日本ハム)
7(一)秋広優人(巨人)
8(捕)古賀悠斗(西武)
9(遊)門脇誠(巨人)

 こちらは、一発長打が脅威となる万波ではなく、今季12盗塁の岡林を1番に置くオーソドックスな形。「巨人・門脇(誠内野手)の抜群の守備力を生かせる」という利点もある。

「プランB」では阪神の佐藤輝明内野手が外れることになる。野口氏は「海外の投手は、高めの速い球と低めの落ちる球で攻めてくる傾向が強い。基本的に佐藤輝が苦手とするタイプです」と指摘。「もっとも、今季後半の佐藤輝は内角高めのボール球をだいぶ我慢して見送れるようになりましたし、低めの変化球も甘くなれば捉えられるようになりましたた。だからこそ、9・10月度の月間MVPにも輝いた。それを国際大会でも継続できるかどうか」と注目選手に挙げた。

「若い選手がこの大会で躍動し、国際大会の経験を積んで、次のWBC(2026年)で優勝を狙えるチームをつくっていきたい」と語った井端監督。ワクワクするような有望な若手がひしめているのは確かだ。

【表】まさかの「プランB」も…野口寿浩氏が考えた井端ジャパン初陣の予想スタメン

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