大舞台でも見せる宮城の“気遣い” 18歳の韓国戦…「やってしまった」から学んだ礼儀

オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】
オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】

オリックスの宮城大弥が相手打者のバットを拾う理由

 大舞台で学んだスポーツマンシップが、今も生きる。オリックスの宮城大弥投手は29日、京セラドームで行われた阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第2戦に先発登板し、6回4安打無失点の好投で8-0の勝利に貢献。今シリーズ成績を1勝1敗のタイに戻した。

 超満員の本拠地でも、いつものように冷静さを保った。宮城はイニングの3つ目のアウトを奪うと、相手打者のバットを拾い、ボールボーイに手渡すことが目立つ。シーズン中から行う“気遣い”は日本シリーズでも変わらず。そんな宮城がスポーツマンシップを学んだのは18歳の頃だった。

 高校日本代表「侍U-18」に選出された宮城は、2019年に韓国で行われた「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場。スーパーラウンド2戦目の韓国戦での「1球」を鮮明に覚えている。

「死球を(左打者の)頭に当ててしまったんです。すぐに帽子を取って謝ると、向こうの選手もお辞儀してくれた。そういうシーンを覚えています。当ててしまった瞬間、球場の空気が変わりましたけど(相手選手が)ペコっと微笑んでくれると、(スタンドが)温かい拍手をしてくれて、ホッとしたのを覚えています」

 相手を思いやる宮城は、一塁に歩く打者に何度も頭を下げた。「正直、当ててしまった時は『やってしまった……』という感じでした。ボールがすっぽ抜けてしまったんです。一塁に歩いている時、何回も謝って、目があった時に『大丈夫』という感じで言ってくれました。ヘルメットまで取ってくれて、試合中なのに……とビックリしました」。国際大会で学んだ“礼儀”は今、日々の試合で生きている。

 28日の初戦は、エースの山本由伸投手が6回途中7失点でKOされた。まさかの光景が広がったが、2戦目は宮城の躍動で勝敗をタイに戻した。もう1度、宮城が先発登板を任されるとなれば11月5日の第7戦(京セラドーム)が有力。最後の最後まで野球の神様はどちらに微笑むか、わからない。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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