予想外の“0-8返し”なぜ生まれた? 日本S独特のルール…専門家が唸った「中嶋采配」

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

第1戦で出場なかった廣岡がチャンス作り、ベンチ外の西野が先制の三塁打

■オリックス 8ー0 阪神(29日・京セラドーム)

 オリックスは29日、京セラドームで行われた阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第2戦に8-0で勝利し、1勝1敗のタイに戻した。前日の大敗から大幅に打線を組み替える“ナカジマジック”が炸裂。野球評論家の新井宏昌氏は「完敗からの完勝。これで本当の意味で五分になった」と分析した。

 大敗から一夜明け、猛牛打線が爆発した。両チーム無得点で迎えた3回。2死二塁から西野が右中間へ適時三塁打を放ち先制。さらに続く4回は2死から宗が四球を選ぶと紅林、野口、廣岡、中川の4連打で一挙3点を奪いリードを広げた。7回には代打・ゴンザレスの走者一掃の3点適時二塁打など、終わってみれば8得点の快勝だった。

 第1戦では3年連続「投手4冠」のエース・山本が、6回途中7失点でKO。打線も散発2安打完封負けと、重苦しいムードが漂っていた。本拠地で連敗だけは避けたいオリックスだったが、見事に前夜の“お返し”に成功した。

 先発の宮城が6回4安打無失点の好投を見せ、打線も12安打8得点。1勝1敗のタイに持ち込む展開に新井氏も「絶対的なエースがKOされ、チームの雰囲気は悪くなりそうなところで最高の勝利。中嶋監督の起用が見事に当たった。翌日に本来の戦い方ができたことは大きい」と絶賛した。

不振だったゴンザレスは“右打席”で好結果「起用の幅が広がる」

 第1戦ではベンチ外だった西野、出場機会のなかった廣岡が中嶋監督の起用に応えた。特に西野は昨年の日本シリーズでは、11打数5安打で打率.455の“シリーズ男”。短期決戦で勝負強さを発揮するベテランが、チームに流れを呼び込んだ。

「日本シリーズ独特の入れ替え可能なルールが、中嶋監督の腕の見せ所。第1戦で試合に出ていない選手が、しっかりと準備して結果を残す。先制点の場面は運も味方につけた。西勇の牽制悪送球で二塁になったことで外野手がシフトを前に敷き、外野の間を抜いていった。もし一塁なら本塁に生還できなかった可能性が大きい」

 下位打線でチャンスを作り、ポイントゲッターで得点を返す。さらに首位打者の頓宮、4番に起用されたセデーニョにも安打が生まれた。第1戦で不発に終わったゴンザレスに関しても「左の島本が出てきたことでベンチが動きやすくなった。スイッチだが右打席の方が良い。2球で簡単に追い込まれたが、最後はしっかりと捉えた。結果が出たことで今後も起用の幅が広がった」と新井氏。

 投手陣も先発・宮城の後を受けた宇田川、山崎颯、小木田が計3イニングを3者凡退と完璧な内容。守護神の平野佳も控えており、6回までリードすれば勝機はグッと近づく。レギュラーシーズン同様の展開に持ち込めることを証明した。。

 第3戦からは敵地・甲子園での3連戦。完全アウェーの状況になるが「この1勝は本当に大きい。昨年も2敗1分から4連勝で日本一を経験している。面白い展開になるのではないでしょうか」。極端な2試合を戦った“関西ダービー”の勝負はこれからだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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