「即戦力」の難しさ…“明暗”分かれたパの新人　1登板のドラ1も、楽天勢は大健闘

楽天のドラ1・荘司はプロ初勝利から5連勝を飾った

　2023年ドラフトが終了し、新たに多くの選手がプロ野球の世界に足を踏み入れる。大学・社会人からプロ入りする選手は、ルーキーでも即戦力としての働きが期待されることも少なくない。では、2022年ドラフトで指名された選手で、1年目から活躍した選手はどれだけ存在したのだろう。今回は昨年ドラフトでパ・リーグに入団したルーキーを「即戦力」という観点から振り返る。

○日本ハム
　1位の矢澤宏太投手は主に外野手として37試合に出場。投手としても2イニングで3奪三振を記録した。打率.177と打撃面で苦しみ、故障もあって1軍定着は果たせなかったが、二刀流としての能力を随所で見せた。2位の金村尚真投手は先発で防御率1.80、奪三振率8.28、K/BB4.60。故障で4登板にとどまったのが惜しまれる。6位の宮内春輝投手は15試合で奪三振率9.72をマークも、防御率6.48と安定感を欠いた。

　3位指名の逆輸入ルーキー・加藤豪将内野手は打率.210も62試合で6本塁打を放つなど、強打の内野手として実力の一端を示した。5位指名の奈良間大己内野手は65試合で打率.243。絶対的なレギュラー不在の二遊間の主力候補として台頭した。

○楽天
　1位の荘司康誠投手は先発ローテ入りし、パ新人で最多の109回2/3を投げた。7月5日のプロ初勝利以降は負けなしの5連勝を記録するなど、主戦の1人として活躍した。3位の渡辺翔太投手はチームの後半戦の復調に大きく貢献。パ新人で最多の51登板で防御率2.40、33ホールドポイントを挙げた。4位の伊藤茉央投手も25登板で防御率3.27と奮闘。2位の小孫竜二投手は4登板にとどまった。

○西武
　1位の蛭間拓哉外野手は6月に1軍昇格し、8月には22試合で打率.294をマーク。打率.167と苦しんだ9月末に故障で戦線離脱を余儀なくされ、最終的には56試合で打率.232に終わった。4位の青山美夏人投手は開幕戦でクローザーとして登板するなど、リリーフの一角として39登板で防御率2.96をマークした。6位の児玉亮涼内野手は、開幕前のワールド・ベースボール・クラシックで右手小指を骨折した源田壮亮内野手の代役として序盤戦で遊撃手を務めた。打率.221と打撃で苦しみレギュラー定着は果たせなかったが、即戦力としてチームの危機を救う働きを見せた。

オリのドラ1曽谷は最終戦で初勝利…育成4位・茶野は開幕戦にスタメン出場

○ロッテ
　1位の菊地吏玖投手は故障の影響で、プロ初登板は8月11日の西武戦だった。守備の乱れもあり4回4失点（自責点1）と試合をつくれず。1軍登板はこの1試合のみだった。2位の友杉篤輝内野手は開幕1軍を勝ち取り64試合で打率.254をマーク。俊足を生かして守備、走塁でも存在感を発揮した。4位の高野脩汰投手は7試合のリリーフ登板のうち4試合で複数イニングを消化。防御率1.64と好成績を残した。

○オリックス
　1位の曽谷龍平投手は9試合に登板した時点で防御率4.73。しかし、シーズン最終戦となった10月9日のソフトバンク戦では6回無失点でプロ初勝利をマークした。3位の齋藤響介投手は高卒ながら1軍で先発し、4回無失点と高いポテンシャルを証明した。4位の杉澤龍外野手は1軍で2試合に出場して初安打も放った。

　育成4位の茶野篤政外野手は開幕前に支配下登録を勝ち取り、開幕戦ではスタメンに抜擢。6月まで外野の主力として活躍し、パ新人最多の91試合に出場した。7月以降は調子を落としたものの、2022年の育成ドラフト出身者で唯一の1軍出場を果たした。

○ソフトバンク
　2位の大津亮介投手は46登板で防御率2.43。13ホールドを挙げるなど重要な場面での登板も多かった。3位の生海外野手は13試合出場で打率.200と結果を残しきれなかった。5位の松本晴投手は交流戦で救援として3回を無失点と好投したが、プロ初先発の楽天戦（8月27日）では3回1/3を5失点と洗礼を浴びた。6位の吉田賢吾捕手は10月に1軍デビューするも、代打で三振を喫した。

　2022年ドラフトで指名された選手で、規定投球回や2桁勝利に到達した投手はいなかった。しかし、荘司は先発の一角として奮闘を見せ、渡辺、青山、大津はリリーフとして安定した投球を披露した。野手でも規定打席や年間100試合以上に出場した選手はおらず。それでも、茶野と友杉はシーズン序盤からレギュラー格として活躍した。プロの舞台で即戦力として輝きを放つことは容易ではないが、今年のドラフトで指名された中から、早期に台頭する選手は出てくるだろうか。

（「パ・リーグ インサイト」望月遼太）

（記事提供：パ・リーグ インサイト）