城島健司氏が危惧する鷹の捕手事情 “甲斐一強”に潜む危険性「彼が短命になる」

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史】

「ライバルが出てくること、環境が変わることは拓也にとってもいいんです」

 競争することが、自分自身のためになる。ソフトバンクの城島健司会長付特別アドバイザーが6日、宮崎県の生目の杜運動公園で行われている秋季キャンプを視察した。日米通算292本塁打を放った強打のキャッチャーだった城島アドバイザーは、正捕手・甲斐拓也に“ライバル”が出現することを願った。「そういう人が出てきてくれるのを期待していますよ」と言う理由に迫った。

 甲斐は今季139試合に出場して打率.202、10本塁打、44打点。打点は2021年と並んでキャリアハイだったものの、チームはシーズン3位に沈み、クライマックスシリーズで敗れた。自身の成績よりも、3年連続のV逸が捕手としても悔しかったはず。秋季キャンプには参加せず、調整を一任されて今は来年2月のキャンプインを目指している。

 城島アドバイザーは「そういうライバルが出てくること、環境が変わることは拓也にとってもいいんですよ。『このまま何もしなくてもレギュラーだ』ってなってしまうと、彼が短命になりますよ。彼に刺激を与える人がほしいっていうのは、彼のためでもあるんです」と熱弁。1つしかない捕手というポジション。ライバルの存在で危機感を抱くことが、その先の野球人生に必ずつながると話す。

秋季キャンプを視察した城島健司会長付特別アドバイザー(左)【写真:竹村岳】
秋季キャンプを視察した城島健司会長付特別アドバイザー(左)【写真:竹村岳】

現役時代はチームメートだった小久保裕紀新監督「愚痴くらい聞きますよ」

 自身も現役時代、2005年オフにメジャーリーグに挑戦した。捕手として初の日本人メジャーリーガーとなり、言語の壁も文化の壁とも向き合った4年間となった。2010年からは日本球界に復帰し、阪神に入団。常に刺激を求めて、環境を変えながら戦ってきた城島アドバイザーだからこそ説得力がある。「僕らだってその戦いを毎回してきたわけだし、移籍して新たなライバルと勝負していくわけですから」と続けた。

 この日は捕手陣の練習を見守っていた。来季9年目を迎える谷川原健太捕手にも言及して「持っているものは素晴らしい。彼の場合は能力が多すぎて。内野も外野もできて、足も速くて肩も強いです」と評価。器用さを絶賛した上で「彼まだ若いですし、それで終わるような選手ではない」と、レギュラーになるほどの飛躍も期待していた。

 来季は小久保裕紀新監督を迎え入れて、生まれ変わるソフトバンク。現役時代からチームメートだった小久保新監督を、城島アドバイザーは「先輩」と呼び「1軍の監督になったら全てを受け入れないといけない。眠れない日も続くと思います。孤独なんです、監督って。僕は(指導者として)ユニホームを着たことがないので想像でしかないですけど、本当に優勝してほしいと思っています。そのためには、愚痴くらい聞きますよ」と笑顔で話した。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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