自信掴むも2年で戦力外「現実は受け止めた」 指名漏れも経験…24歳の“新しい挑戦”

オリックスから戦力外通告を受けた園部佳太【写真:本人提供】
オリックスから戦力外通告を受けた園部佳太【写真:本人提供】

オリックスを戦力外になった育成・園部佳太「現実は受け止めました」

 モヤモヤの胸中を晴らし、明るい未来を切り開く。オリックスから戦力外通告を受けた園部佳太内野手が、15日にファイターズ鎌ケ谷スタジアムで行われる「プロ野球12球団合同トライアウト」で、渾身の力を発揮する。

「しっかりバットを振れる選手だというところを見てもらいたい。やれることは全部やってきた。状態も上がってきているので、全力でアピールしていきたいと思います」

 内野全ポジションを守ることができる24歳は、2021年育成ドラフト2位でオリックスに入団。昨季からの2年間、NPBの舞台で奮闘するも2桁の背番号には届かず、10月5日に戦力外通告を受けた。

「現実は受け止めました。ただ、新しいチャレンジができる機会だとも思った。前向きに頑張るしか、今の僕にはありません」

 自信を深めたバットで、新たな“居場所”を掴んでみせる。福島・いわき光洋では1年秋からベンチ入りし、2年秋からは主将を任された。3年夏は県大会の決勝で聖光学院にサヨナラ負けを喫し、甲子園出場とはならなかったが、高校通算48本塁打を記録し、周囲を騒がせた。

 秋にはプロ志望届を提出するも、まさかの指名漏れ。大学に進学したが「挫折というか……モチベーションがうまく上がらず、自信をなくしてしまった期間でした」と中退することを決め、地元に戻った。

トライアウト参加で「長打力や勝負強さを見てもらいたい」

 2019年11月にBC福島の合同トライアウトに参加すると、天性のバットコントロールやパンチ力が評価されて入団が決まった。「もう1回、野球をやらせて頂いた、福島での時間が1つの分岐点でした」。2021年にオリックスから指名された際、両手を突き上げて喜んだ。

 プロ1年目だった昨季は2軍戦で72試合に出場し、打率.253、6本塁打、27打点をマーク。「独立リーグの時から打撃への自信はあったんですけど、1年目が終わったときに正直あそこまで打てるとは思っていなかった。ホームランも6本。練習試合を合わせると10本打つことができたので、自信が出てきました」と手応えを感じていた。

 2桁背番号を掴むため、目の色を変えて挑んだ今季は43試合に出場して、打率.278、1本塁打、13打点の成績だった。昨季から大幅に変わったのは「打席数」で、2022年は212打席が与えられたが、今季は79打席。ライバルの多いポジションで多くの出場機会はなく、勝負強い打撃を披露するしかなかった。

 オリックスでの2年間で驚いた出来事は2つあるという。1つはプロ投手の直球の伸びで「低めの球をボールだと思って見送ったら、全部ストライクだった。変化球のキレも全然違いました。凄いなと思いつつ、うまく対応できたかなと思います」と適応力の高さを見せた。

 2つ目は「打球音」だった。「舞洲で正尚さん(吉田正尚)が打っているのを見た時、音が完全に違いましたね。『やっぱり全然違うんだな』と。打球音が高くて、気になったので立ち止まって見てしまいました」。あの時に見た“残像”を刻み込んだ。

 戦力外通告から新天地を目指す戦いは15日に行われる。トライアウトに向け「長打力や勝負強さを見てもらいたい」と意気込む24歳。決めた覚悟の奥には、確かな未来が待っている。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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