震えた巨人の口説き文句「ウチで走らないか」 ファーム68盗塁の22歳…唯一無二の魅力

巨人が獲得した舟越秀虎【写真:上杉あずさ】
巨人が獲得した舟越秀虎【写真:上杉あずさ】

一家で巨人ファン「まさか巨人から来るなんて…鳥肌が止まりませんでした」

 巨人は16日、ソフトバンクから戦力外となった舟越秀虎外野手と育成契約を結んだと発表した。背番号は「051」。2019年の育成ドラフト5巡目で熊本・城北高からソフトバンクに入団。今季は3軍、4軍で68盗塁をマークする走力の持ち主だったが、支配下昇格は叶わず、4年目が終わった今オフに戦力外に。現役続行を目指して新天地を探していた。

「めちゃくちゃ走ってきたので自信はありました。どこでやるかとかは決まっていなかったですけど、次の球団で頑張ろうと思っていました」。決して悲観せず、現役続行に向けて練習を続けてきた。巨人から届いた口説き文句は「ウチで走らないか」。一家で巨人ファンだったという舟越は「まさか巨人から(お話が)来るなんて……鳥肌が止まりませんでした」と心中を明かした。

 舟越の最大の持ち味は50メートル5秒8という俊足。球界トップクラスの周東佑京内野手にも匹敵し、舟越自身も「スピードだけだったら(周東さんにも)負けていない」と自負する。ソフトバンクでは、周東と同じく俊足を武器にする野村勇内野手に「今まで見てきた中で1番速いと思う」と評されたほどだ。

 今季は3軍と4軍で90試合に出場して68盗塁。塁に出さえすれば、ベンチからのサインはなく“グリーンライト”だった。出塁すれば積極果敢に次の塁を狙い、盗塁成功率も高かった。

 小川史3軍監督も「今年の後半、もう初球とか2球目ぐらいから走れるようになったから、脚だけでも武器にはなりそうな雰囲気にはなってきた。打つ守る投げるはまだまだだけど、一芸っていう意味では、速いだけじゃなくて、早いカウントで走れるようになったのは大きい」と脚のスペシャリストとしての大きな成長を認める。

 最大の武器であるスピードも「まだまだ速くなれる」と感じている舟越。脚が大きな武器でありながら「僕、盗塁下手なんで。野球がうまい人は盗塁が上手。センスがあるんです。でも、僕はそうじゃない」という。技術には成長の余地が残っており、来季から巨人の2軍外野守備走塁コーチを務めるの鈴木尚広コーチの指導があれば、更なる成長も見込めそうだ。

 素直で人懐っこい舟越は16日、初々しい笑みを浮かべて新天地での会見に臨んでいた。子どもの頃から憧れていたという巨人入団の喜びを感じつつ、心機一転、新天地での支配下登録を目指す。夢は4万人からの声援。東京ドームを駆け回る日を心待ちにしたい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)

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