ドラ6で開幕1軍も「気疲れありました」 西武・児玉亮涼が“遊撃一筋”から変わった理由

西武・児玉亮涼【写真:矢口亨】
西武・児玉亮涼【写真:矢口亨】

堅実な守備が持ち味の児玉はルーキーイヤー56試合で打率.221、8打点

 社会人の大阪ガスから2022年ドラフト6位で西武に入団した児玉亮涼内野手。身長166センチと小柄ながら、堅実な守備が持ち味だ。「自分が思っていた以上にいい経験ができました」とルーキーイヤーを振り返り、1軍定着に向け課題に取り組んでいる。

 九州産業大では2年春からレギュラーとして活躍し、大学日本代表にも選出されるようになった。大学日本代表には、オリックスの頓宮裕真捕手、阪神の佐藤輝明内野手ら、現在はプロでチームの中心として活躍している選手ばかりが名を連ねたが、その中で遊撃を担った。

「自分の課題はバッティングなので、そこにしっかり力を入れつつ、守備もおろそかにしたくないと思っていました。体も大きいほうではないですが、やっていけた。自分のプレースタイルは変えなくていいんだなと、自信になりました」

 それでもプロに行ける確信は持てず、課題である打撃に取り組むため、大学卒業後は社会人の名門・大阪ガスに進んだ。

「最終的な目標はプロになって活躍することでした。チャンスは無くはなかったのかもしれないですけど、確実でもなかった。熱心に声をかけて下さった大阪ガスのために何とか力になりたい、チームに貢献しながら『プロに入る』という目標を掲げてレベルアップしたいと思いました」

西武・源田壮亮【写真:矢口亨】
西武・源田壮亮【写真:矢口亨】

二塁、三塁にも挑戦「各ポジションにしっかりとした役割がある」

 大阪ガスでは1年目から試合に出場。日本選手権優勝に貢献し、優秀選手に選出された。「全国大会で優勝し、いい経験ができましたし、自信も付きました。でも正直プロ入りは『厳しいかな』と思っていました」。社会人でもう1年、最後の勝負に挑むつもりでいたが、ドラフトで西武から指名を勝ち取った。本職とする遊撃には、ゴールデン・グラブ賞6度の名手・源田壮亮内野手がいる。だが、その状況をプラスに捉えた。

「今まで『この人うまいな』と思った人はたくさんいますが、その中でも1番です。『こんな人いるんだ』って、ちょっと感動しました。その源田さんを間近で見られるのは、自分にとって勉強になる。ライオンズに入れてよかったと思っています」

 ずっと遊撃一筋でプレーしてきた。こだわりもあったが、今は出場機会を増やすため、二塁、三塁にも挑戦している。「昔からショートをやってきて、かっこいいと思っていたけれど、各ポジションにしっかりとした役割がある。ショートが1番というわけではないと思っています」。打球が飛んでくる方向、見え方の違いに苦戦したが、2軍で経験を積み、慣れてきた。

 ルーキーイヤーは56試合に出場し、打率.221、8打点。開幕1軍を掴み、4月は好調を維持していたが、5月以降は失速した。「体力的な疲れもありましたけど、気疲れもありました」。来季は体力面を克服し、1年間1軍でプレーすること、そして出塁率を上げることを目標に掲げる。「焦らず怪我をせずに、今年経験したことを生かして、レギュラーとして試合に出られるようになりたいです」。おろそかにしたくないという守備は、近くに最高の手本がいる。多くを学びながら、熾烈なレギュラー争いに挑む。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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