地獄の12連敗→世界の舞台で覚醒 挫折経験の24歳…リーグ最高の魔球「9.6」

侍ジャパンに選出された西武・隅田知一郎【写真:荒川祐史】
侍ジャパンに選出された西武・隅田知一郎【写真:荒川祐史】

西武・隅田はアジチャンでベスト9…宝刀のチェンジアップが冴えわたった

 野球日本代表「侍ジャパン」は19日まで行われた「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」で優勝。井端弘和監督の“初陣”を飾った。ベストナインに輝いた西武の左腕・隅田知一郎投手は昨季から今季にかけて12連敗を喫したが、9勝をマーク。躍動の裏には進化した変化球の存在があった。

 隅田は17日の韓国戦に先発し、7回77球を投げ、3安打7奪三振無失点の快投。勝利投手になり投手部門のベストナインに選出された。この2年間のプロ生活は波乱万丈と言える。

 西日本工大から2021年ドラフト1位で西武に入団。西武の他に広島、巨人、ヤクルトが1位入札した。1年目の昨季は1勝10敗、防御率3.75。プロ初登板で白星をあげるも以降は10連敗とプロの壁にぶち当たった。

 今季もスタートで2連敗を喫して球団ワーストの連敗は12にのびた。しかし、4月19日のソフトバンク戦で連敗を12で止めると、流れが変わった。結局、22登板で9勝10敗、防御率3.44。今回、侍ジャパンに選出された。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを見ると、昨年から大きく変わったのはチェンジアップだ。

 チェンジアップによる失点増減の合計「wCH」の数値は昨年の2.4から9.6に改善。この数字はDeNA・東克樹投手の11.3に次ぐ2位、パ・リーグではトップだ。韓国戦でも“宝刀”が冴えわたり、スコアボードに0を並べた。

 黒星街道を脱し、その7か月後には日本代表のユニホームを着てベストナインに輝いた24歳。右肩上がりで終えた2年目を弾みに、来季は更なる進化が期待される。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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